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2019 年度 実施状況報告書

ロープテザーに対する宇宙エレベータークライマーの姿勢制御

研究課題

研究課題/領域番号 18K04031
研究機関神奈川大学

研究代表者

江上 正  神奈川大学, 工学部, 教授 (40201363)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードクライマー / 姿勢安定化制御 / リアクションホイール / スパイラル機構
研究実績の概要

ロープテザーを走行する宇宙エレベータークライマーの姿勢制御に関して、リアクションホイール機構やスパイラル推進機構などについて理論的および実験的に検討を行ってきている。
当該年度は、単一のリアクションホイール機構を用いたロープテザークライマーの姿勢制御について、リアクションホイールクライマーのモデルを導出し、シミュレーションにより、姿勢制御の効果を確かめている。そして、リアクションホイール機構を試作して、卓上実験で有効性を確認した後、クライマーに取り付け、20m昇降実験により姿勢制御の効果を検証している。リアクションホイール機構はクライマーの姿勢制御の際にわずかに回転するだけなので、常時高速回転しているCMG機構よりも機構が簡単、軽量で取り扱い易い。しかし、CMG機構よりも飽和するまでの時間は長くなるものの、やはり長時間になると飽和してしまうことも確認しており、この対処が今後の課題となる。
スパイラル推進機構は、始動時のトルク低減とともに高速で短時間のスパイラル運動により、クライマーの姿勢制御を行うことを目的としている。このためにスパイラル推進を実現するクライマーの機構について検討している。当該年度はクライマーを3輪可動ローラから脱輪防止版を用いた2輪可動ローラの機構に作り変えて検討を行っている。その結果、脱輪防止版は有効に働き、脱輪やローラの接触などの問題は解決されている。しかし、2輪に変更したため推力が十分でないためか、ローラをある程度傾けると上昇できないという問題が生じている。より推力の大きなモータを用いると機構の変更が必要であり、機構の再検討を行っている。
以上のようにクライマーの姿勢制御については単一のリアクションホイール機構を用いた場合には、ある程度結果が出ているものの飽和の問題に対する対処が必要である。スパイラル推進機構については、機構の見直しが必要になっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

ロープテザークライマーの姿勢制御に関する手法として、構造が複雑で重量が大きくなり扱いにくいCMG機構に変えて、構造が簡単、軽量で扱いやすいリアクションホイール機構を用いた。単一のリアクションホイール機構を用いたロープテザークライマーでは姿勢制御の効果が確認され、CMG機構よりも倍近く長い時間飽和しないことも確認された。当初は実用上問題にならないくらい長時間飽和しないことも期待していたが、現状ではさらに飽和時間を延ばせるような機構の検討が必要になってきている。
スパイラル推進機構の方は、高速で短時間のスパイラル運動によりクライマーの姿勢制御を実現することが目的であるが、スパイラル推進の機構が複雑なためクライマーの製作が難航している。

今後の研究の推進方策

リアクションホイール機構を用いたロープテザークライマーの姿勢制御に関しては、単一のリアクションホイール機構を用いたロープテザークライマーでは姿勢制御の効果が確認され、CMG機構よりも倍近く長い時間飽和しないことも確認された。当初は実用上問題にならないくらい長時間飽和しないことも期待していたが、現状ではさらに飽和時間を延ばせるような機構の検討が必要になってきている。具体的にはフライホイールにジンバルを追加した機構を用いたり、リアクションホイール機構を複数用いることなどを検討している。
スパイラル推進機構の方は、高速で短時間のスパイラル運動によりクライマーの姿勢制御を実現することが目的であるが、スパイラル推進の機構が複雑なためクライマーの製作が難航している。機構の再検討を進め、スパイラル運動が可能なクライマーを開発するのが目標である。機体が開発できればその基礎実験により基本的な性能を確認後、始動時のトルク軽減や高速、短時間のスパイラル運動を実現し、スパイラルクライマーの姿勢制御を行いたい。

次年度使用額が生じた理由

当該年度の当初の直接経費の受入額は1,000,000円であったが、昨年度の繰り越し額が1,068,853円あったため、当該年度の所用額は2,068,853円であり、そのうち1,642,148円使用し、次年度への繰り越し額426,705円が生じている。
昨年度、大幅に繰り越し額が多かったのは、当初計画した機構や方式はいずれも問題点が明らかになり、別の機構や方式に切り替えて検討を行うことになったため、それらの対応に時間を費やしてしまい、予定していた機材を購入する段階まで至らなかったためである。当該年度は、ロープテザークライマーの姿勢制御を行うための装置の製作やセンサの購入などに費用を用いたため繰越額は少なくなっている。翌年度で交付決定額は使い切れる予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] 最近点探索と進行方向の目標点設定を用いた経路制御手法のボール&プレート装置への適用2020

    • 著者名/発表者名
      永田 雄基, 菅原 彗, 江上 正
    • 雑誌名

      日本機械学会論文集

      巻: 86 ページ: -

    • DOI

      10.1299/transjsme.19-00286

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Stability analysis of a control system with nonlinear input uncertainty based on disturbance observer2020

    • 著者名/発表者名
      K. Umemoto, T.Endo, F.Matsuno and T.Egami
    • 雑誌名

      International Journal of Robust and Nonlinear Control

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1002/mc.4999

    • 査読あり
  • [学会発表] 江上研究室における宇宙エレベータークライマーの開発2019

    • 著者名/発表者名
      永瀬喬介、後藤敬雄、江上正
    • 学会等名
      第11回宇宙エレベーター学会
  • [学会発表] リアクションホイールを用いた宇宙エレベータークライマーの姿勢制御2019

    • 著者名/発表者名
      永瀬喬介、江上正
    • 学会等名
      ロボティクス・メカトロニクス講演会2019
  • [学会発表] リアクションホイールを用いた宇宙エレベータークライマーの姿勢制御2019

    • 著者名/発表者名
      永瀬喬介、江上正
    • 学会等名
      第20回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会
  • [図書] 宇宙ビジネス参入の留意点と求められる新技術、新材料2020

    • 著者名/発表者名
      江上正他59名
    • 総ページ数
      478
    • 出版者
      技術情報協会
    • ISBN
      978-4-86104-792-3
  • [産業財産権] フィングリップを用いた円錐型アイリスロボットハンドに適用可能な把持装置、ロボットアーム及び飛行体2020

    • 発明者名
      江上正
    • 権利者名
      神奈川大学
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      592218300

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公開日: 2021-01-27  

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