研究課題/領域番号 |
18K04033
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
神谷 恵輔 愛知工業大学, 工学部, 教授 (50242821)
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研究分担者 |
井上 剛志 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70273258)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マルチボディシステム / 零空間行列 / 運動解析 / 拘束力解析 |
研究実績の概要 |
本申請課題は,冗長な拘束や特異姿勢を有する系に対しても適用可能な,マルチボディシステムの高速・高精度な汎用解析法,解析コードの開発を目的としている.2018年度は,摩擦が作用しない場合に,拘束条件に関するヤコビ行列の零空間行列を効率的に求め,運動解析法を行う方法およびこれに基づくの解析コードを開発した.この方法の特長は,計算効率が高いことと,特異姿勢に対してもほとんど問題なく解析可能なことである.2019年度はこの方法に基づいて,拘束力を効率的に求めるためのアルゴリズムの開発を行った.開発した方法では,反拘束相対変位と呼ぶ拘束条件に違反する相対座標を導入することで,仮想仕事の原理に基づいて拘束力を陽な形で定式化することを可能とし,さらに零空間行列の概念を導入して不要な変数を消去し,効率的に拘束力を算出することが可能である.さらにこの方法を,拘束条件が冗長な場合にも適用できるように拡張した.拘束条件が冗長な場合には一意に拘束力を定められる成分とそうでない成分がある.開発した方法では,これらを判別する必要はなく,一意に定められない成分に対しては適当な評価基準を導入し,この評価基準に基づいて一括して拘束力を定めるものである.評価基準の詳細な説明は省略するが,基本的な考え方としては求まる拘束力の大きさが最小になるようにするものである.これについてもアルゴリズムの開発だけではなく,ある程度汎用的に使える解析コードも開発した.2020年度は2019年度の結果を発展させ,例えば摩擦力などのように拘束力に依存する力が作用する場合の解析アルゴリズム,コードの開発を予定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように,2019年度は拘束力を求めるための解析方法の開発に取り組み,拘束条件が冗長な場合も含めて解析できる方法を確立した.また国内および海外での口頭発表ならびに学術論文としての公表を行った.現在は摩擦力などのように拘束力に依存する力が作用する場合の解析方法の開発にも取り組んでいる.ここまでの進捗状況はおおむね当初の計画通りである.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度も当初の計画通り研究を遂行する予定である.2020年度は摩擦力などの拘束力に依存した力を受けて運動する場合の解析方法について検討し,この解析機能を実装した解析プログラムのコーディングを行う.なお,新型コロナウイルスの影響で,口頭発表での機会は国内,海外を含めて予定よりも少なくなる可能性がある.
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年秋に投稿した学術論文の査読が長引いており,その投稿料として予定していた金額が次年度使用額の半分近くを占める.それ以外は旅費や物品費の残金である.投稿していた学術論文も掲載が決定されたので,この投稿料の支払いを行う.その他は2020年度に必要な物品の購入や旅費などに用いる予定である.
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