減衰を有するヘルムホルツ消音器の最適調整 構造物等の共振が問題の場合には,減衰を有する動吸振器を設置することによって受動的に共振を抑えることができるが,本研究ではこれに着想を得て,音場の共鳴を減衰を有するヘルムホルツ消音器で抑える研究を行った.具体的には,音場にモード解析を適用することにより,音場という連続体の振動を等価なマスばね系で表現し,この離散モデルを用いて音場に設置されたヘルムホルツ消音器の首部の開口端補正を高精度に求める方法を提案し,この開口端補正と定点理論を用いてヘルムホルツ消音器の最適固有振動数比と最適損失係数を求めた.音響管の開口端補正については,レイリーが求めた開口端補正がよく知られているが,無限空間または無限バッフルに設置された音響管の開口端補正が求められているに過ぎず,閉空間に消音器を設置する場合には精度が不十分であることを示し,研究代表者らの提案手法を用いることで十分に高精度な開口端補正が得られることを示した.本研究ではシミュレーションと実験を通して,提案した開口端補正とヘルムホルツ消音器の最適調整が有効であることを示した.元々は3年間だった研究期間を1年間延長することにより,この減衰を有するヘルムホルツ消音器の最適調整に関する研究を論文にまとめて日本機械学会のMechanical Engineering Journalに投稿することができ,2021年の8月に掲載されるに至った.
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