研究課題
古代魚の運動行動に関する研究は殆ど見つけることができず,なんら物理的な根拠のない現存する生物の行動を模倣しているのが現状である.ある環境下で古代魚の行動を物理法則に基づいて解明するには,生物分野においては不可能と思われる.機械学習の分野では深層学習(CNN)が現在のトレンドで教師あり学習である.しかし,現存する生物の運動行動を教師信号とする事は,古代魚の独自の行動を獲得するのに不適格である.むしろ,個体発生が系統発生を繰り返すような行動獲得方式が必要であり,そのためにはプリミティブな行動をより高次で組み合わせて制御する方式が望ましい.この方法論として,複合・複雑行動を獲得できるビヘイビアコンポーズド(BC)と呼ぶEANNを組み合わせた新しい行動獲得法を提案して研究を進めてきた.具体的には, 1)細長いソーセージのような胴体と胴体から下側に細長い7対の足,胴体上側に外的から身を守る多数のトゲがあり細長い7対の足で海中を足の運びの位相を考慮しながら歩行するハルキゲニアモデル,2)胴体の両側に突きでた泳ぐための多数のヒレ,頭から突き出た左右の眼,獲物を捕らえるための二本の腕を持ち,胴体の両側に突き出た泳ぐための多数のヒレで遊泳するアノマロカリスモデルなどで単一行動の遊泳獲得を行った.次に単一行動の遊泳であっても身体の泳動,推進力を利用した単なる慣性による前進,ヒレによる遊泳,等の複数の行動を自身と環境の状況に合わせて選択しながら複雑な行動を獲得するためにEANNを用いて実現する事ができた.本研究では,複合・複雑化された行動を復元可能にする方法論として提案してきたBCを発展させ,地球上に見られない形態の古代魚の行動獲得を実現した.また,古代魚の形態は現存する魚類とは異なる形態のため,本研究を実施することにより,新しいロボットの形態及び運動行動様式を得られる可能性を確認した.
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