研究課題/領域番号 |
18K04042
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
中沢 信明 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (80312908)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 嚥下体操 / 計測 / Kinect / 画像処理 |
研究実績の概要 |
嚥下体操の計測システムの構築ならびにアプリケーションの作成を行った.嚥下体操を首と肩,上肢による運動と口周りの運動に分け,前者についてはKinectセンサ,後者についてはUSBカメラを利用することとした.本年度は,Kinectセンサを用いることで,嚥下体操中の深呼吸,首の前後左右運動,肩の上げ下げの計測システムを構築し,実時間でヒトの左右の肩,肘,手首,腰の三次元位置情報を取得し,csvデータとして保存することを可能にした.各運動がいずれも周期的な動作であることに着目し,往復運動を支援するゲームアプリケーションを作成した.本アプリケーションでは,計測モードとゲームモードの2種類を実装した.計測モードは,無理のないペースでの運動を10回行い,動作中のエクササイズ時間,往復運動の各関節座標を取得した.なお,エクササイズ時間はゲームモードにおける1セットの時間に反映させ,関節座標の最大値はゲームモードにおけるしきい値設定に適用した.ここでは,肩の上げ下げ運動に着目したゲームを作成した.計測モードで取得した肩座標の最大高さに0.7を乗じた値をしきい値とし,上げ下げの状態判別に用いた.ゲームモードでは,ゲームをプレイすることで得点が加算され,100点満点で評価される.上昇状態の場合はキャラクターが上に,下降状態の場合は下に移動する.ゲームとしては,左から流れてくる円をキャラクターが壊すことで得点が加算され,最終的に100点満点で採点される.これらを高齢者介護施設で試した結果,肩の運動カウントが正確にでき,また使用者それぞれが自分のペースで行うことが可能であることが確認できた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,Kinectセンサならびに画像処理を利用することで,嚥下体操の計測システムの構築を行った.Kinectセンサを利用した肩,首,上肢運動に関係する嚥下体操の計測システムが確立でき,また,次年度以降に行う予定であったシリアスゲーム作成にも着手し,おおむね研究計画書の項目を実施している.なお,口周りの嚥下体操の画像処理プログラムは作成中であり,来年度に計測することが計画されている.
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の計測システムを拡張させて,頬の膨らまし,窄め動作,パタカラ体操のセンシングシステムを確立する.これまで研究室で構築してきたオプティカルフローによる特徴点取得と動き方向の検出を利用し,前年度に着手し始めたゲームアプリケーションの開発を継続して行う.
|
次年度使用額が生じた理由 |
(次年度に使用額が生じた理由) 本年度は,嚥下体操の中でも首と肩,上肢による運動に焦点を当てたため,Kinectセンサによる解析が中心となり,口周りの嚥下体操の画像処理プログラムまで作成に着手したが計測までには至らなかった.そのため,次年度から行う予定のゲーム作成を先行して実施した. (次年度における使用計画) 口周りの嚥下体操についての解析とシンポジウムでの発表を次年度行うこととし,未使用額はその経費に充てる予定である.
|