研究課題
昨年度に引き続き,嚥下体操の計測システムの構築ならびにアプリケーションの作成を行った.昨年度までは,Kinectセンサを利用して,嚥下体操における肩の上げ下げ運動など,上腕を中心とした動きを扱ったが,本年度は一般のWebカメラを利用することで,舌の運動,頬の膨らまし・窄め運動,パタカラ体操など,口周りの運動に焦点を当てて計測システムの構築を行った.ここでは,Ferneback法に基づいたオプティカルフローを利用することで,動きをベクトルとして捉えて,嚥下体操を行っているかの判別に用いることとした.舌の運動は舌を出した後に舌の先端を左右上下に動かすものであり,またパタカラ体操は「パパパ,タタタ,カカカ,ラララ」の発声を行うものであるが,いずれもカメラを正面から見上げるように配置することで,オプティカルフローにより,舌の先端および唇の動きを容易に捉えられることができた.それに対して,頬の膨らまし・窄め運動については,動きが立体的であるため,検出が困難であった.そこで,頬の膨らまし・窄め運動が検出しやすくなる条件について検討を行った.ここでは,オプティカルフローによる動きの検出が背景に影響を受けやすいことに着目し,顔の背景について検討を行った.その結果,白い無地に比べ,白黒の周期的にラインが入ったストライプ模様を背景とした場合の方が,僅かな動きでもストライプ模様上でベクトルが現れて動きの検出がなされ,効果があることが確認された.さらに,昨年度に作成した往復運動を支援するゲームアプリケーションに適用した.頬の膨らまし・窄め運動を利用して検証を行った結果,周期的に運動を行いながらゲームを操作することが可能であることが確認できた.
2: おおむね順調に進展している
本年度は,嚥下体操の中でも舌の運動,頬の膨らまし・窄め運動,パタカラ体操など,口周りの運動に焦点を当てて,画像処理を利用した計測システムの構築を行った.前年度の成果と合わせ,おおむね研究計画書の項目を実施している.
ゲームアプリケーションの開発を継続して行い,学生を被験者とする予備実験,ならびに高齢者福祉施設での検証実験を計画している.
(次年度に使用額が生じた理由)国際会議に行く計画であったが,新型コロナの影響でキャンセルしたため.(次年度における使用計画)シンポジウムでの発表を次年度行うこととし,未使用額はその経費に充てる予定である.
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
Journal of Mechanical and Electrical Intelligent System
巻: Vol.3, No.1 ページ: 16-21
Journal of Technology and Social Science
巻: Vol.4, No.1 ページ: 48-52