研究課題/領域番号 |
18K04042
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
中沢 信明 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (80312908)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 嚥下体操 / 計測 / 画像処理 |
研究実績の概要 |
本年度は,嚥下体操の評価を行うため,反復唾液嚥下テスト(RSST)の計測システムについて構築を行った.従来は,簡易的なやり方として,喉頭隆起(喉仏)付近に指先を当て,喉頭隆起の動きを診るのが一般的であったが,本システムでは画像処理によって,非接触での計測・回数判別が可能なものを目指した.斜め上方向に向けられたカメラを机上に置き,座位状態の被験者の喉元の画像を取得し,接続されたパソコンに取り込んだ.取得画像に対して,Shi-Tomasiの手法により喉元皮膚表面上の凸凹,毛穴に対してコーナー検出で特徴点を抽出し,Lucas-Kanade法によりオプティカルフローを算出した.ここでは,顎から喉頭隆起の下側にかけて,口と同じ幅の範囲内に限定してオプティカルフローを求め,さらに縦に4分割し,各領域における特徴点のベクトルを取得した.各領域の特徴点の動きの代表値として,ベクトル角度のメディアン(中央値)を求めて解析を行った.摂食・嚥下時の動きを解析した結果,咀嚼時はそれぞれの領域で周期的な上下方向の動きが検出されており,いずれも互いに動きが同期している.その一方で,嚥下時は喉頭隆起の動きがあるため,喉頭隆起の領域とその上側の領域で動きが異なる.なお,嚥下できない状況を想定し,飲み込みを途中で止めた場合には,喉頭隆起の上がり方が不十分であり,その結果,特徴点の動きが嚥下時よりも小さくなった.判別として,4つの領域のうち,一番下側の領域とその1つ上の領域のベクトルの中央値の差から閾値以上の動きを嚥下と定義した.また,その状態が観測された回数から,反復唾液嚥下の回数カウントが可能なシステムを構築した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,嚥下体操の評価方法として,反復唾液嚥下テストのための計測システムの構築することができた.前年度までの成果と合わせ,おおむね研究計画書の項目を実施している.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに構築した嚥下体操のためのゲームアプリケーションと反復唾液嚥下テストを統合し,評価テストを行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に使用額が生じた理由:国際会議に行く計画であったが,新型コロナの影響でキャンセルしたため. 次年度における使用計画:シンポジウムでの発表を次年度行うこととし,未使用額はその経費に充てる予定である.また,前年度までに開発したシステムの充実を図る予定である.
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