研究課題/領域番号 |
18K04048
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
植村 充典 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00512443)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ロボット / 不確定環境 / 環境認識 / 画像処理 / SLAM |
研究実績の概要 |
平成30年度は、不確定環境においてもロボットが物体操作をできるようにするため、SLAMを応用した環境認識方法の基礎理論を構築し、実際にコンピューターに実装して基本的な実験を行った。本方法では、Visual SLAMと同じようにカメラを用いて環境や物体の特徴点を追跡することで、物体を認識する。このとき、SLAMではロボットが動くことでリアルタイムで不確定環境を認識するのに対し、本方法ではロボットが不確定な環境や物体を動かすことでそれらをリアルタイムで認識する。 本方法の有効性を確認するため、ばら積みされた食品サンプルを認識する実験を行った。本実験を行うため、コンピュータービジョンを用いた認識システムを開発した。本実験では、ばら積みされた食品サンプルをコンピュータービジョンで動画として撮影し、食品サンプルに触れてそれらを動かした。撮影された動画において、食品サンプルを動かしていない間はばら積みされた食品サンプルの画像は非常に複雑であり個々の食品には個体差があるため、撮影された動画から食品サンプルの個体を認識することは困難である。実際、人の目から見ても個々の食品サンプルを認識することは容易ではなかった。それに対し、食品サンプルに触れて動かすと個々の食品サンプルは一体となって動くため、人の目から見ると個体を認識することは可能であった。提案したアルゴリズムにおいても、食品サンプルを動かした際に特徴点を追跡し、特徴点が一体となって移動している点群を識別することで個体を認識できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要でも記述したとおり、当初に計画していた環境認識法の基礎理論を構築し、コンピュータービジョンシステムを製作し、基本的な認識実験を行うことができている。よって、概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、よりアルゴリズムを洗練させ、認識精度を高める。ステレオ視を用いた方法も検討する。ステレオ視を用いると、片目で見た画像の特徴点と逆側の目で見た画像の特徴点との照合により環境や物体の3次元形状を認識できるだけでなく、同じ特徴点を次の時刻の特徴点とも照合することで特徴点の追跡も同時に行える。これにより、3次元認識と物体の移動の追跡を別々に行う場合に比べて計算効率が向上する。また、特徴点の3次元位置が予めわかっていれば、一体となって動いている点群の分類が容易になり、認識精度の向上や計算効率の向上が期待できる。今後は、これらの理論構築や実験を行う。 また、実際にロボットが物体に触れて物体を移動させながら認識を行うシステムの構築も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していたハーモニックドライブが世界的需要の高まりにより年度内に購入できないほど納期が長期化し、購入を断念せざるを得なかった。それに伴い、モータや機械部品の購入を見送る必要ができ、次年度使用額が生じた。 31年度は、ハーモニックドライブの需要が落ち着き、短納期での購入が可能になりつつある。よって、30年度に購入できなかった分の購入を検討している。また、30年度の研究成果により軽量・柔軟な減速機を自作できる可能性が生まれつつあり、これに予算を投じることも考えている。
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