ICT技術によるデータ収拾と機械学習によって,ユーザが求めている情報を即座に提供する技術が進んでいる.しかしながら,ユーザの行動を外部から促すよう な情報が多量に送られ、ユーザはそれに従うことに専念するため自律性や主体感を失う.このような無機的な応答によって心理的なストレスを増大させていると いう問題がある.この問題に際し当該提案は,情報をあたかも自身の心のなかで気づきが得られたように感じられるようにする情報提示の在り方を検討する. そこで当該研究では,ヒトが発声を伴わない脳内での思考のための道具としての利用している”内言”に着目する.内言とは,発声を伴わない脳内での思考のた めの道具としての利用していると考えられている. 研究では,まずこの内言を用いて心理負荷の状況の検出として,内言が独り言として発生されていくモデルを設計した.次に,内言として刺激を行うための音声を生成について検討を進め,発生された音声から,頭の中で響く自分声へと変換するための フィルタ手法として,従来手法では不十分であった,骨と空気の伝導モデルを再構築し簡便に擬似内言を生成する方法を実現し,実験協力者がもっともらしく自分の頭の中で聞こえる声と感じられるパラメタの抽出し実装できた.そして,誘導課題として,黙読で行う計数課題実験において,計数を阻害する外部音声刺激として疑似内言提示,機械的な音声,ホワイトノイズを与えた結果,疑似内言提示がもっとも誤回答誘導効果が強いことを示した.またこのときの応答時間に条件差がなかったことから精神負荷には影響を与えず,本人が誘導されたとは知覚されなかったことも明らかとなった.
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