研究課題/領域番号 |
18K04053
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研究機関 | 会津大学 |
研究代表者 |
成瀬 継太郎 会津大学, コンピュータ理工学部, 教授 (10301938)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 災害対応ロボット / サブクローラ / 三次元地形 / ヤコビアン / 微分幾何 / 曲面 |
研究実績の概要 |
研究課題であるサブクローラ型ロボットの移動時の自律水平制御は,(1)サブクローラの角度を制御することにより車体を水平(あるいは所望の角度)に制御することと,(2)三次元地形での経路計画の二つにより達成される.本年度は,対象となる三次元地形のモデルが既知で,連続曲面であることを仮定して理論構築を行った.また,(3)検証のための環境生成を行った. 具体的には,(1)では三次元地形モデルが与えられたときに,サブクローラ―の角度(例えば四関節)からロボットの代表点の傾き(三自由度)へのヤコビアンを定義した.そして所望の傾きになるような逆運動学解法を開発した. 一方,(2)では曲面における最短経路を求めることになるが,これは平面(ユークリッド幾何学)のそれとは異なる理論が必要になる.この課題に対して,我々は微分幾何を導入し,測地線と呼ばれる曲面上の最短経路の数理を用いて,ロボットの経路計画手法を開発した.さらに,測地線は二点間の最短距離を与えるがロボットの移動能力は加味されないため,我々は三次元での高さ情報をコストに加えた経路計画手法を開発した. (3)として,実ロボットと作業環境の整備と,それに対応するシミュレータ上でのロボットと環境のモデルを整備した.シミュレータを用いた制御ソフトウェアの開発を先行して行い,最終的に実ロボットでの検証を目指している. 以上をまとめると,サブクローラロボットの自律水平移動に関しては,姿勢制御と経路計画の両者が必要不可欠であることが明らかになり,本年度はそれの理論構築を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進捗としては,理論構築はおおよそ完了し,シミュレータや実ロボットなどによる検証と手法の修正が残っていると認識している.以下,現在までの具体的な活動について述べる. (1A)サブクローラの角度から代表点姿勢へのヤコビアンを定義し,任意の連続曲面において水平制御を行うための制御理論を開発した.(1B)高さ方向の移動能力は,サブクローラの接地状況によって変化する.そこで,連続曲面にならうようなサブクローラの姿勢制御理論を開発した. (2A)三次元空間中の連続曲面において,微分幾何による曲面上の最短経路(測地線)を利用して,経路計画の原理を開発した.(2B)サブクローラの接地状況によってロボットの登坂能力が変化するため,それを考慮した経路計画が必要である.そこで前項の測地線に加えて高さ方向のコストを考慮した経路計画手法の原理を開発した. (3A)上の項目をロボットシミュレータで検証するために,環境整備を行った.(3B)さらに,次年度以降に実機での検証も視野に入れて,サブクローラロボットのソフトウェアの整備を行った.
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今後の研究の推進方策 |
今後はシミュレータを中心に開発した理論の検証を行い,ブラッシュアップを行う.とくに実ロボットでの検証を視野に入れて,ロボットの動作環境としては標準試験法(STM)で定められているテストコースを三次元地形の具体例として,正確な三次元地形モデルとロボット姿勢が既知の状況下での,開発した制御理論の検証を行う.さらにシミュレータでは様々な三次元地形やロボットモデルを試すことができるので,理論の実用性を調査する.そして,最終的にロボット試験施設に我々のロボットを持ち込み,STMのテストコースを対象に,モーションキャプチャで得られたロボット姿勢を用いた実ロボットでの検証も目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた国際会議での発表ができなかったため,予定していた旅費を使わなかったため.
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