本研究の目標は,サブクローラ型ロボットが不連続な地形を移動する際に車体が常に水平になるように自律的に制御する手法を開発することである.従来手法では未知の地形を対象に,ロボットに搭載した姿勢検出センサの測定値によって車体を水平に制御していた.しかし近年の3次元計測技術の進歩によってロボット周囲の地形を取得することが可能なり,最適な経路計画が求めることが可能になった.一方,不連続な地形では段差などの移動によってロボットの速度増加や地形との衝突による速度変化が発生し,ロボット姿勢が不安定になってしまうため,安定な姿勢を維持する制御が求められている. 本研究では傾斜が不連続に変化する地形を対象に,その地形モデルとロボット運動学モデルが既知であるときに(1)地形に起因する速度変化を考慮した経路計画手法と(2)計画された経路に対して安定なロボット姿勢を維持する姿勢制御手法を開発することを目的とする. 研究の成果として,(1)については不連続な姿勢の変化による速度変化を重心位置のポテンシャル変化が運動エネルギに変換されることと,地形に衝突するときの角運動量保存則によってモデル化した.このモデル妥当性をロボットシミュレータによる数値実験と,モーションキャプチャを用いた実ロボットの軌跡の観測により検証した.さらにこのモデルをロボットの経路計画に導入しより追従しやすい経路計画手法を開発した. (2)については,ロボット姿勢制御の目標をクローラ接地面積の最大化かつロボット姿勢角の変化を最小化と設定し,地形とサブクローラ型ロボットの接地条件を幾何学的に解析することによって最適サブクローラ角度を求めた.そして各ロボットの位置と姿勢における最適サブクローラ角度をロボットのコントローラとして実装し,標準試験方法連続ランプコースを対象にロボットシミュレータを用いた数値実験により検証した.
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