本研究では自動車に乗車した乗員の心理状態を生体情報を用いてリアルタイムに推定し、その情報に基づき適切な乗り心地を維持できるよう振動制御する「乗り心地制御システム」を提案するものである。 このシステムでは座席部にアクティブシートサスペンションを搭載し、乗員に伝わる振動の制御を行う。アクティブシートサスペンションでは乗員へ伝わる振動の低減だけでなく、諸々の状態に応じて振動を加えることも可能である。 自動車に入力される振動が乗員の心理状態 に及ぼす影響を把握した上で、時々刻々と変化する乗員の心理状態に対して良い乗り心地を維持するための振動制御システムをさらに発展させ、より快適かつ低ストレス状態で乗車可能な高機能アクティブ振動制御システムの実現を目的に研究を遂行している。 最終年度に当たる令和4年度は生体計測を利用した乗り心地感覚の推定を、制御システムの中にシミュレーションと実証実験結果をうまく組み合わせることでより精度の高いアルゴリズムを構築することができた。 研究期間全体(平成30年度~令和4年度)を通して、2自由度アクティブシートサスペンションの振動制御システムを構築することができた。さらに、ストレスと情動を考慮した乗り心地の評価およびそれに基づく制御手法を構築し、実験協力者の生体反応を取得する実証実験を行い、本研究で考案した統計的な生体情報の解析手法の有用性について有用性を確認することができた。
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