研究課題/領域番号 |
18K04059
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
武藤 伸洋 日本大学, 工学部, 教授 (10500788)
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研究分担者 |
柿崎 隆夫 日本大学, 工学部, 教授 (10586556) [辞退]
遠藤 央 日本大学, 工学部, 講師 (50547825)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 習熟度 / 視線情報 / 画像処理 / 医療機器操作 / 遠隔作業支援 / ネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究では,センサによる人間の動作計測技術, ロボットおよびICT技術を導入し,操作者の運動情報による作業熟練度の定量化と,その情報伝達による遠隔作業支援システムを実現することで,医療機器操作の教授法を確立することを目的とした.H30年度は,①作業者の運動情報を利用した医療機器操作習熟度の解明ならびに操作習熟度の定量化モデルの構築と②作業支援システムの基盤開発を実施した. ①に関しては,人工呼吸器のパネル操作を対象に,視線センサと画像処理を利用した注視点の自動抽出技術を導入し,注視時間と習熟度の関連性に関する実験を実施した.本実験では人工呼吸器の操作を対象とし,操作手順を事前に説明した被験者 15 名に対し10 回づつ運動情報を計測した.そのうち注視対象のなる教示用ブリントの全体が視線センサの記録画像で記録できた7名の被験者ついて注視時間を自動算出し,作業開始から作業終了までの操作時間を相関を分析したところ,相関係数は 0.72 となり強い相関があることがわかった.本実験は,日本大学工学部倫理審査委員会の承認を得て実施した (承認番号2017-04(2018 年度継続承認済み)).また,操作者の指の運動情報の計測と習熟度の定量化を目指し,これまでの実験環境にデータグローブの計測システムを構築し,基本的な機能を確認した. ②に関しては,グローバルIPアドレスを付与したサーバ系を大学内ネットワークに設置し,外部とのアクセスに必要なネットワーク設定変更を施し,インターネット上からクライアントとなるセンサやロボットが双方向に情報通信可能なサーバクライアントシステムを構築した.具体的なデータ通信実験として,大学から約35kmの距離にある実験場と公衆インターネット回線を介した通信実験を行い,簡易な移動ロボットの遠隔操作を行い遠隔地からの作業支援システムの基本的な機能を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験装置の構築、被験者実験の倫理審査・募集・実験実施ともに計画通り実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、作業者の運動情報を利用した医療機器操作習熟度の解明と操作習熟度の定量化モデルの構築については、視線センサに加え、指の動作、腕部の加速度や角速度情報等を統合化した運動情報計測システムを活用して、複数の情報の連携性など多角的な観点から習熟度の定量化を目指す。また視線センサ情報の処理に関しては画像処理技術による自動化を進める。 作業支援システムの基盤開発では、映像音声に加え、プロジェクタを利用した作業指示を可能とするシステムならびに、移動ロボット・マニピュレータによる物理的な支援を可能とするシステムを構築し、評価実験を行う。プロジェクタに関しては、周囲の環境の色情報を自動取得し、作業者が視認しやすい色を自動的に選択し投影する機能や、移動ロボット・マニピュレータの遠隔操作を容易化させるため作業環境のセンサ認識による自律的機能を強化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
遠隔作業支援システム用の市販サーバコンピュータの性能向上が進み、交付決定額を使い切ることなくH30年度の計画を実施できた。次年度使用額については、習熟度の計測の実験における画像データ量の増加に対応するため、保存用の記憶装置の購入に使用する。
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