研究課題/領域番号 |
18K04060
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
齊藤 健 日本大学, 理工学部, 准教授 (70580174)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | シリコンデバイス / マイクロロボット / 昆虫型ロボット / 静電アクチュエータ / ハードウェアニューラルネットワーク / 太陽電池 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ミリメートルサイズのロボットにシリコンデバイスを実装した、昆虫型のマイクロロボットシステムの開発である。ロボットに実装するシリコンデバイスは、ロボットの移動機構である静電アクチュエータ、ロボットの制御機構であるハードウェアニューラルネットワーク(HNN)、移動機構および制御機構に電源を供給する太陽電池である。特に、本研究を基にした静電アクチュエータについては、企業からの委託研究の締結に繋がった。 当該年度(初年度)は、ロボットに実装するシリコンデバイスのうち、静電アクチュエータについて研究を実施した。過去の研究では、ロボットの脚の完全な動作が得られなかったため、理論値計算を基に改良を実施し、新たに工夫したバネ機構や駆動機構を設計した。また、東京大学微細加工プラットフォームの設備を用いて数種類の試作を行った。試作した静電アクチュエータはパターニングには成功したが、エッチングの段階で過度にエッチングされ、形状が正確に作製できなかった。静電アクチュエータの作製には、簡単なレシピの調整や形状の工夫が必要である。次年度の早い段階に静電アクチュエータの作製を成功させるために、現在調整を行っている状況である。 次年度予定していた、ロボットの制御機構であるHNNの開発については大幅な前倒しを実施し、HNNの基本構成要素を、東京大学大規模集積システム設計教育研究センターを通じてチップ試作した。2018年9月30日に設計完了し、2018年12月24日に試作完了した。試作したチップの測定の結果、シミュレーション通りに動作することを確認した。HNNに関しては、2019年3月25日に設計を完了し、2019年6月24日に試作完了となる予定である。 一連の研究成果は、3件の国際会議の査読付きプロシーディング、3件の国際会議、5件の国内学会に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロボットの移動機構である静電アクチュエータについては、理論値計算を基にした機構設計、数種類の試作を行った。試作した静電アクチュエータはパターニングには成功したが、エッチングの段階で過度にエッチングされ、形状が正確に作製できなかった。おおむね順調に進展したが、静電アクチュエータの動作には、簡単なレシピの調整や形状の工夫が必要である。 次年度予定していた、ロボットの制御機構であるハードウェアニューラルネットワーク(HNN)の開発については大幅な前倒しを実施した。HNNの基本構成要素は、東京大学大規模集積システム設計教育研究センターを通じてチップ試作した結果、シミュレーション通りの動作を確認した。基本構成要素を6個結合したHNNに関しても、既に設計を完了し次年度の早い時期に試作完了となる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に研究を実施した静電アクチュエータについて、簡単なレシピの調整や形状の工夫が必要であったため、引き続き研究を進める。また、次年度において、6つの脚を駆動し昆虫の歩行動作を実現する、新たな機構設計に取り掛かる計画である。また、ハードウェアニューラルネットワーク(HNN)については、次年度の早い時期に試作完了となる予定であるため、測定をおこなう。 次年度の研究推進方策は、世界最小の昆虫型ロボットにシリコンデバイスとして、静電アクチュエータおよびHNNを実装する計画である。具体的には、静電アクチュエータを用いて昆虫を模倣した歩行動作を実現するマイクロロボットの設計、および、マイクロロボットの制御機構であるHNNの実現を目指す。 最終年度にて移動機構・制御機構・電源のロボットへの実装を行い、プロトタイプロボットを完成する。ただし太陽電池については、研究協力者(三田吉郎:東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻准教授)より提供を受け、本研究ではロボットの筐体として後加工のみ行う。最終的に、移動機構・制御機構・電源をロボットの筐体に実装した、世界最小の昆虫型ロボットを本研究の成果として提案する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度の計画として、物品費100,000円、旅費330,000円を予定していたがそれぞれ超過し、代わりにその他の270,000円を予定より大幅に使用を削減したため、2,127円の差異が生じた。残額については、翌年度分として請求した助成金とともに、主に物品費として予定通り使用する計画である。
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