本研究の目的は、人間が行う運動に伴う筋肉や脳機能の賦活状態、生体・生理情報に関わる解析結果と、位置・力情報などの運動に関わるデータについて相互的に解析することにより、作業対象が有する動特性や動作特性に対する人間の認知能力・認知特性を明らかにする解析手法の創成である。提案解析手法により得られる成果は、力学的な相互作用を伴う作業の動特性・動作特性の調整や設計を定量的に実現するための有益な基盤情報になり得ると考えられる。これらの基盤情報は、“ヒトを主体とするものづくり”を支える上で有用であり、人間が扱いやすく、操作しやすい機器やロボット、操作インターフェースの設計・調整に役立つことが期待される。 そこで本研究では、作業対象の動特性(慣性、粘性、剛性)や、摩擦特性を伴う作業や運動に関する人間の応答について、光トポグラフィ装置(fNIRS)、筋電計測装置、三次元位置計測装置、力覚センサ等を用いて、人間の脳や筋の賦活状態、運動データ、生体・生理情報を計測する実験を実施し、得られたデータの解析・評価手法の検討を行った。 本年度(2020年度)の研究成果は、種々の動特性や動作特性を有する作業を対象として実験を行い、昨年度までに開発した解析手法を用いてデータ解析を実施したことに加えて、人間の応答特性や運動データ、生体情報についての評価を行い、提案解析手法の有用性、ならびに、様々な知見を明らかにしたことである。
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