研究課題/領域番号 |
18K04068
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
原田 孝 近畿大学, 理工学部, 教授 (80434851)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 知能制御 / ケーブル駆動ロボット / パラレルメカニズム / 機構解析 / 機械設計 |
研究実績の概要 |
2019年度は当初計画に沿って,【A】ロボット機構の詳細設計【B】ケーブル駆動条件を満たす並進動作範囲を最大とする最適設計【C】実機試作に取組んだ. 【A】ロボット機構の詳細設計:LinuxCNCを用いて本研究で提案する6自由度8ケーブル駆動の制御方法を考案するとともに動力学シミュレータを開発し,その結果,昨年度選定したアクチュエータを用いることで,本研究で目標とするアデプトサイクルを0.5秒で実現しうることを検証した.3Dプリンタを用いてプーリ内蔵可動部の試作を行った.形状創成理論を用いて,ケーブルの干渉が小さいケーブルガイド形状を考案し,3Dプリンタを用いて試作して動作検証を行った.これらの成果を国内の学会である日本機械学会ROBOMECH2020に投稿した. 【B】ケーブル駆動条件を満たす並進動作範囲を最大とする最適設計:ケーブルの滑りを考慮してケーブル駆動条件を満たすロボットの設計方法を考案し,これらの主たる成果をケーブル駆動ロボットに関する査読付き国際学会CableCon(2019/7)において講演を行った.ケーブルの動作範囲を最大とし,かつ,ケーブルの滑りを抑制する制御方法を考案し,査読付き国際学会ICMIMT2019(2019/4)においてポスタ講演を行い,ベストポスタ賞を受賞した.関連する研究として,4自由度の並進駆動範囲が大きいベルト駆動ロボット機構を提案し,英文ジャーナルに採択・出版された. 【C】実機試作:昨年度に課題としていた制御装置に関して,LinuxCNCを用いたパラレルロボットの力制御方法を考案し,2自由度パラレルロボットを試作してコンプライアンス制御を実装して動作検証を行った.その成果を計測自動制御学会SI部門講演会(2019/12)にて講演を行った.また,【A】で述べたように,実機試作のための各機械要素,制御装置の開発はほぼ完了した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【C】実機試作においては,LinuxCNCを用いた力制御方法の実装に時間を要し,最終的な実機試作は次年度に持ち越すことしたが,【A】機構の詳細設計と【B】ケーブル駆動条件を満たす並進動作範囲を最大とする最適設計は計画通りに研究が進んでおり,全体としておおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2020年度は,2019年度の研究として一部繰り越した実施試作を完成させて,当初目標である動作検証を実施する. 2019年度に実施した可動部及びプーリ部の機構設計,LinuxCNCを用いた制御装置を応用し,定格回転数6000rpm,定格トルク0.2NmのDCモータを用いてウインチ直径25mm,手先部プーリ直径50mm,手先部総質量500gを概略仕様とした時に,ハンドリングロボットの高速動作の指標であるアデプトサイクル(25mm上昇→300mm水平移動&ハンド180度回転→25mm下降の往復運動)を0.5秒にて実現できることを検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
実機試作においては,LinuxCNCを用いた力制御方法の実装に時間を要し,最終的な実機試作は次年度に持ち越すことし,それに関する機械・電気部品の費用として次年度に繰り越した.2020年度前半に実機試作を完了させて,目標とするアデプトサイクルを0.5秒にて実現できることを検証する.
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