研究課題/領域番号 |
18K04071
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
貞弘 晃宜 大分大学, 理工学部, 准教授 (40424676)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 確率共振 / マルチセンサ / 事前推定 / 操作能力熟達 |
研究実績の概要 |
手術支援や双腕型重機ロボットのような多自由度機械において、直感的で違和感のない操作性を実現するためには、人の動作を実動作より前(事前に)推定し、人間と機械の動作を同期する Brain Machine Interface(BMI)の開発が鍵となる。本研究では、マルチセンサと確率共振を用いて高SN比で計測された筋電位信号から人間の動作を事前推定する方法を開発し、次にマルチセンサ入力に合成重みを導入しニューロン様の構造とすることと学習理論を組み合わせることにより、操作能力熟達能力を測る指標としても用いることができないか、ということを研究目的としている。 筋電位はその発生機序から人間の動作よりも事前に生じるが、筋電位を用いた BMI の多くは、前処理として行われるローパスフィルタ(LPF)を用いることにより、実際に生じたタイミングよりも遅れた信号を利用していることになる。さらにほとんどの BMI は事前に筋電位が生じているという特性すら利用していない。本研究課題ではこの点に着目し、LPF なしで筋電位信号を得る方法として、マルチセンサと確率共振を用いる方法の有効性を検証してきた。 本年は、昨年度実施したマルチセンサと確率共振を用いることで、筋電位信号が従来の LPF による前処理を行った場合よりも、事前に取得できることを国際学会発表にて報告した。また、より早期に、かつ確率的な信号であってもより、確実に事前の信号を得られる手法として、従来一段階であった確率共振時のヒステリシス関数を二段階とすることで改善をはかった。さらに、筋電位計測からの操作能力熟達計測を行う方法を探索する研究も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画時には、おおよそ 2年で本研究課題の骨格部分となる事前推定に関しては終了させる予定であったが、研究代表者の職場異動による環境変化のため、継続的な研究ができていない部分が生じた。また、異動に際して装置の破損等もみつかり、その修繕にも時間を必要とした。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は研究完成年度になるため、研究組織が変わってしまったが「準備状況と実行可能性」に記述した協力教員とも蜜に連絡をとり、従前完成の予定であった事前推定法についてなるべく早く完遂させることを目指す。 2020年度は当初より新型コロナにより研究体制を構築することが難しく、研究進展は当初予定よりも相当に遅れると思われる。これまでの研究進捗の遅延も考慮すると、次年度以降もこの研究課題実施の延長を願いでる必要があると感じている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の所属異動にともなう研究体制の再構築と研究遅延により、当初研究2年目に購入予定であった備品(FPGA)の選定を行うことが出来ず、大きく物品費を余らせることとなった。 今後、本年購入予定であった FPGA とその開発環境の購入に予算を利用する。また、新型コロナウィルスのため、多くの学会がオンライン開催となっているが、参加できるものは参加をしていくことも検討する。本課題終了直前に予算残がある状態であれば、無理に利用するようなことはせず、返還することを第一に考え、適正な支出に務める。
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