研究課題/領域番号 |
18K04080
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
七戸 希 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (80362953)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 空心変圧器 / 高温超電導 / 交流電源 / 大電流 / 超小型・軽量 / 常電導転移 |
研究実績の概要 |
本研究では,超小型・軽量の交流電源を指向した,空心高温超電導変圧器を用いた電源の開発を行っている。昨年度の研究において,1 kApeakの出力に成功したものの,周波数は60 Hzのみであり,1 kHzを目標として高い周波数にて出力ができるよう検討を行った。一次巻線と二次巻線のターン数はこれまでと同じとしながら,一次巻線の層数を増やすことで磁気結合が向上することを解析により得た。また,併せて構造的に高磁場がかかる二次巻線をREBCO線にすることで,臨界電流の向上と二次巻線に用いる素線の数の低減すなわち小型化を行った。解析では数100Hz程度まで向上が見込まれた。他研究機関との共同研究により,この構造の変圧器だけでなく,他に複数の構造の変圧器を作製し,最大3 kA程度の直流通電試験を行い,電流リードを始めとした接続部における不要な電圧降下を生じさせない接続方法についても検討した。電流リードにおいては機械接触を利用した接続が適切であるとの結果を得た。さらには,昨年度,変圧器の二次巻線に常電導転移が生じたとき,二次電流の一部が励磁電流として分流し,二次電流が減衰していく特性を持たせることができるという実験結果が得られたため,この特性をベースとした常電導転移保護システムを構築した。具体的には変流比の変化を検出することで常電導転移の有無を判別して通電電流の遮断により巻線を保護するシステムを作製した。検証の結果,本システムにて二次巻線を安全に保護できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画にて2年目までに最適な変圧器の設計と作製を行うとしており,概要に述べたようにその作製は順調に進んでいる。目標の1 kHzでの通電にはまだ到達していないが,今後の方策で述べるように達成の見込みは得られている。さらには新たな常電導転移保護システムの構築も実現することができた。以上により,おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度で達成に至らなかった1 kHzでの通電について,共振を利用した方法にて実現できる見込みがあることがわかったため,本方法を主として検討をしていく。また,3年目では実使用上での問題点等についても検討することが当初計画であり,概要で述べた電流リード等の接続部の検討を3年目に先駆けて実施した。引き続き同様の検討を進めていくとともに,実際の使用目的と同じ状況,すなわち変圧器の二次巻線にサンプル超電導線を接続してその通電特性を測定する際に必要な条件等について検討を行いその対応をする。常電導転移保護システムについても,二次巻線だけではなく,一次巻線の安全確保も可能とするシステムとして構築すべく検討をしていく。
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備考 |
電気学会中国支部奨励賞受賞 ・山口 碧斗:令和元年度(第70回)電気・情報関連学会中国支部連合大会 ・山田 北斗:令和元年度(第70回)電気・情報関連学会中国支部連合大会
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