研究課題/領域番号 |
18K04084
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
山口 順之 東京理科大学, 工学部電気工学科, 講師 (50371224)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ブロックチェーン / スマートコントラクト / オラクル / 電力取引 / 太陽光発電 / 再生可能エネルギー / 配電系統 / 送電混雑 |
研究実績の概要 |
本研究では,ブロックチェーン上の仮想通貨取引とスマートコントラクトの実行による分散型PV余剰電力取引システムを提案し,実証実験によりスケーラビリティや信頼性の評価を行なう。研究実績を研究計画時に策定した3つの項目ごとにまとめる。 A) 分散型PV余剰電力取引システムの「実世界との融合手法の提案」では,実世界上の一般送配電事業者が配電系統の混雑制約を考慮した取引の可否判定を実施する方法を提案し,数値実験を行なった。すなわち、線路混雑を考慮したノーダルプライスの計算手法と、送電制約の計算処理をブロックチェーンの外部で実施し,結果を取り込む「オラクル」を応用した外部システムの構築方法を提案した。実験環境としては,研究室内のEthereumを用いたプライベートネットにて動作検証を行うとともに,スマートメータエミュレータを導入し,試験システムへの組み込み作業を行なっている。 B) 分散型PV余剰電力取引システムの「スケーラビリティの評価」では,研究室内のEthereumを用いたプライベートネットを用いて,取引件数や市場参加者数が取引手数料と処理時間にどのような影響を及ぼすかについて,数値実験を行ない,論文投稿を行なった。現在,査読中である。 C) 分散型PV余剰電力取引システムの「合意形成アルゴリズムの提案」は,項目A)の実施内容である,オラクルを応用した外部システムの構築方法を提案することで実施している。 研究発表は,投稿中の論文1件に加え,国際会議1件を含む3件の口頭発表と国際会議でのポスター発表1件を実施した。国際会議でのポスター発表は,ベストポスター発表賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画3項目について,1件は論文投稿に至り,残りの2項目についても国内外の会議で着実に発表できる段階にきているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の重要な研究推進項目は以下の2つである。 1)実験装置であるスマートメータエミュレータを用いた実機実験を行う。実機検証により,電池や空調,電気自動車など様々な需要側分散資源をPV出力抑制回避に活用することを示すことができるとともに,実世界における課題抽出も可能と考えられる。 2)実世界の公的機関(例えば,気象庁や電力ガス市場取引等監視委員会,電力広域的運営推進機関などとの情報連携に基づく信憑性確保システム)も組み合わせた合意形成アルゴリズムの検討の余地がある。本研究では,気象庁発表の気象情報やひまわり8号の各種データ,電力系統運用者の公開情報なども活用した新たな合意形成アルゴリズムを検討し,研究室内のEthereumを用いたプライベートネットにて動作検証と性能改善を行なう。
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