研究課題/領域番号 |
18K04085
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
中村 壮亮 法政大学, 理工学部, 准教授 (20634695)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 電力工学 / 制御工学 |
研究実績の概要 |
磁界共振結合方式の無線給電を生活空間に展開するに当たって、剛体コイルを前提とすることによる組み込み先の柔軟性喪失、複数機器への同時給電が困難である事、などがネックとなっている。そこで本研究では、フレキシブルコイルを用いた磁界共振結合方式による複数の給電対象への一括無線給電の方法論を確立することを目的としている。これにより、形状変形を伴う複数のウェアラブル機器を単一の給電装置から一括で給電可能となるため、利便性の向上が期待できる。 昨年度はまず、共同研究者が進めている複数のセンサやアクチュエータを取り付けて個別制御可能とするウェアラブルスーツ(導電性繊維上で電力線通信しているもの)へのクッション性のソファからの給電を実用シーンとして定めた。また、85kHz系で、フレキシブルコイルの設計・評価(シミュレーション)と制御系の理論構築、さらには基本回路(容量制御回路など)の製作を進めていた。 本年度は、実用シーンのさらなる具体化を進め、送電側は背もたれから座面に跨った大型のフレキシブルコイルのクッションへの内臓を想定し、受電側のフレキシブルコイルは背中部や臀部に分散して複数のフレキシブルコイルがスーツに内蔵される形を想定した。そして、フレキシブルコイルをFPCにて製作し、実用シーンを模擬した際の変形に伴う自己・相互インダクタンスの時系列変動を計測した。さらに、その結果に基づいてシミュレーションの素子値を修正して、まずは一対の送受電コイルでの無線給電系のシミュレーション環境をMatlabで構築し、動作確認に成功した。さらには、実機も構築し、基本的な動作確認に成功した。これらは、全て85kHz系に対してまずは進めているが、同時並行して各部の高周波対応(13.56MHz化)や大電力化も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実用シーンのさらなる具体化を進め、今回対象とする複数一括給電のシナリオを明確に策定した。そして、フレキシブルコイルをFPCにて製作し、実用シーンを模擬した際の変形に伴う自己・相互インダクタンスの時系列変動の計測、およびその結果に基づいた一対の送受電コイルでの無線給電系のMatlabでの制御シミュレーションまでを完了した。さらに、容量制御回路のみならずフレキシブルコイル、キャパシタ、負荷など周辺回路とも統合した一対の送受電コイルでの無線給電系の実機を作成し、基本的な動作確認に成功した(送電効率維持の効果は見られている)。これらは、全て85kHz系に対してまずは進めているが、同時並行して各部の高周波対応(13.56MHz化)や大電力化も進めている。高周波化では、スイッチング時間が問題となる素子や寄生容量などが生じる素子について見直し、積極的にディスクリートから表面実装の素子に変えるなどの策を講じたが、1MHzに止まっている。大電力化に関しては、耐圧や最大電流などの観点から素子を見直した。 現在は、高周波化は一旦保留して、85kHzで複数一括給電までを通して実現する方向で進めている。そのため、以下の二つに取り組んでいる。 1.一対の送受電コイルの実験機において共振補償の自動制御化を進めている。デューティ比調整機能を電子化し、計測器をマイコンと連動した。今後は、シミュレーションにて確認済みの自動共振補償のアルゴリズムを実装し、一体の自動制御系を構築する。 2.一対の送受電コイルの系から複数一括給電の系への移行を進めている。同時に、複数一括給電に関する最新の研究動向を調査し、制御部に関しては当初の理論の見直しも進めている。
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今後の研究の推進方策 |
85kHzでの複数一括給電を実現する方向で進めている。そのため、一対の送受電コイルの実験機において共振補償の自動制御化を早急に終え、これを複数一括給電の系へと拡張する。 複数一括給電での制御アルゴリズムは当初より検討していた方法を基本路線としつつ、類似研究の最新の研究動向調査も踏まえて柔軟にアレンジしていく。 また、研究成果を論文誌という形で発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
複数一括給電への拡張が当初予定より少々ずれ込んでおり、そこで必要となる素子については精査したうえで購入に踏み切りたいとの思いから、次年度使用額となった。 従って、この次年度使用額と当初から請求した助成金額とを合わせた額を、次年度に使用したいと考えている。
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