研究課題/領域番号 |
18K04093
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研究機関 | 釧路工業高等専門学校 |
研究代表者 |
高 義礼 釧路工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (80335091)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 火花放電 / 火花チャネル / インピーダンス / 火花抵抗 / 火花抵抗則 |
研究実績の概要 |
初年度(平成30年度)は装置の選定と購入および設置をおこない,実験開始に向けた調整をおこなった。調整の結果,ほぼ計画通りの性能が発揮できることが確かめられた。得られた画像データから火花放電の進展具合や,火花チャネルの形状を把握できることがわかった。また,毎回同じ場所に放電するかどうかの検証もおこなえるようになったので,そのあたりも新たな付随テーマとして今後の実験で確かめてみる予定である。新装置での実験をおこなうためには,さらに放電用電極の作成が必要であり,現在装置に組み込むのに適した形状の電極を設計中である。まもなく,新装置を用いた予備実験がおこなえる段階になっている。一方,本研究の理論的な側面として,火花チャネルにおける火花抵抗の時間変化に対していずれの火花抵抗則を用いればよいかの検討を引き続きおこなった。現在はRompe-Weizel則とToepler則に注目しているが,1000V未満の充電電圧ではその火花定数が大きく変化すること,一方,1000V以上の充電電圧では火花定数がほぼ一定の値に収束することがわかった。しかし,いずれの火花抵抗則がより現実の火花放電に合っているかについてははっきりと結論付けられていない。この結果については,電気学会の論文誌や国際シンポジウムに投稿した。本年度(令和元年度)は新装置の結果とこれまでの結果を比較しながら,火花抵抗則の検証をさらに推し進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しい実験装置の構築は予定通り進んでいる。このあと装置に組み込む電極が完成すれば,予定通り予備実験をおこなえる。一方,理論的な側面からは火花抵抗則の適合性について検証をおこなっているが,従来から提唱されている火花抵抗則は概ね適用可能であることがわかってきた。こちらの検討も順調に進んでいるため,ほぼ予定通りに研究を遂行できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
実験装置については,今後放電用の電極を組み込み,予備実験をおこなう。得られた画像データから火花チャネルの形状を解析し,火花インピーダンスおよび火花抵抗の推定をおこないたい。また,理論的な側面として,従来の火花抵抗則を実験データと比較し,いずれの抵抗則が実際に合っているかを調べていく。さらには,毎回の放電画像から,放電経路と電解分布との関係性について統計的な調査をおこなう予定である。以上の実験等から得られた成果については2019年6月3-7日におこなわれる国際学会(EMC/Sappro2019)や2019年9月におこなわれる電気学会A部門大会にて発表予定である.また,電気学会A部門誌にフルペーパーとレターを投稿中であり,年度内の掲載を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
装置購入や旅費で当初計画より若干安く済んだため35000円あまりの差額がでた。次年度はこれを主として成果発表のための旅費として使用予定である。
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