研究実績の概要 |
2年目(R1年度)は電極作成などをおこなった。顕微鏡下での観測になるので、電極は3次元的ではなく平面の円板2枚を使ってその間隙を1mmとして作成した。実験では火花放電の進展具合や,火花チャネルの形状を多数撮影して簡単な分類などをおこなった。その結果,放電点や放電経路(輝度が高い線条部分)は毎回同じではないことなどがわかった。しかしながら、トリガのかけ方が難しく、偶然映り込んだ数百枚、数千枚の火花放電画像を収集することが困難であった。このため、3年目(R2年度)は火花放電で放射される過渡電界をトリガ信号とし、これをカメラの外部トリガ入力端子からスパイク状の電圧波形として取り込むこととした。放電点から数cm離した位置に同軸ケーブル(BNC端子)の中心導体を配置し、放電時の誘導電圧を外部トリガ端子に入力した。金属線の適切な配置によってトリガされることが確認できた。一回の火花放電自体は数百ns程度の超高速現象なので、トリガ入力のタイミングとフレームの撮影開始タイミング、撮影フレームの露光時間の調整が必要となった。本研究では、トリガ信号を遅延させる機能を用い、トリガ信号が入力される1つ前のフレームに火花放電画像が記録されるように設定をおこなった。以上の検討を重ねた結果、毎回の放電における火花放電画像を確実に捉えられるようになった。これらの結果は、釧路高専研究紀要(第54号, pp.55-58)に掲載された。最終的にインピーダンス推定まで言及できなかったが、大量のデータ収集がおこなえるようになったことから、今後画像解析などから推定をおこなっていきたい。一 方,火花チャネルにおける火花抵抗の時間変化に対していずれの火花抵抗則を用いればよいかの検討をおこなってきたが、充電電圧1000V~7000Vの範囲ではRompe-Weizel則のほうがより測定波形に合致することがわかった。
|