研究課題/領域番号 |
18K04096
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研究機関 | 大分工業高等専門学校 |
研究代表者 |
上野 崇寿 大分工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (30508867)
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研究分担者 |
古川 隼士 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (90632729)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エアロゾル / レジオネラ / インパルス高電圧 / 滅菌 / 殺菌 |
研究実績の概要 |
厚生労働省によるレジオネラ症患者数の調査によると,2008年には900人程度であったのに対し,2016年には1500人以上と感染者報告数が増加傾向にある.レジオネラ症の主な感染経路としては浴場や大規模加湿器等の近辺においてレジオネラ属菌が含まれた水蒸気を吸入することにより感染する,飛沫感染が挙げられる.これが感染経路の90%以上を占めているが,対策としてはレジオネラ属菌の発生しやすい箇所の配管清掃といった方策しかないのが現状である.また,液体中の細菌不活化技術はパルス高電界を用いたものや紫外光,オゾン,薬剤等を用いる手法が提案されているが,エアロゾル中の細菌不活化技術はなく,一度細菌の繁殖している溶液がエアロゾル化し散布されてしまうと不活化が困難になってしまう.本研究では高電圧印加によりエアロゾル凝集,溶液化が生じることを応用し,エアロゾル中における病原性細菌の不活化手法確立を目指した調査及びパルス高電界による細菌不活化を行った. 1)8kVのインパルス電圧を16×10^4パルス印加時において,E.Coliでは不活化率約4.8,VREでは不活化率約2.3と差が生じた.また,電界による不活化はその処理時の温度にも大きく影響を受け,VRE懸濁液において,8kVのインパルス電圧を16×10^4パルス印加時に15 ℃一定での処理時は不活化率2程度であったのに対して40 ℃一定での処理時は不活化率4.5程度を示し,高温下での処理であるほど高い不活化効果が得られた. 2)高電圧印加によるエアロゾル凝集の際に生じるエアロゾル中細菌不活化に関しては,電極に捕集されたVREならびにE.coliを溶液化せずに不活化させられることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度はグラム陰性及びグラム陽性菌における電界による不活化率の差異に加えて,高電界によるエアロゾル中細菌不活化を行うことができた.当初の計画より,進展していることに加えて,エアロゾルを溶液していない状態での不活化が可能であることが示唆されており,次年度はその不活化効果の確認を踏まえて実験を行う.
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今後の研究の推進方策 |
高電界によるエアロゾル中細菌不活化の確認を確認することができたため,その不活化の差異ならびにその不活化に至る因子の解明(活性酸素及びオゾン)を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
VREならびにE.Coliの新規培養並びに印加からコロニーカウントまでの一連の作業が殆どミスなく実験できたこと,菌を含有させたエアロゾルを溶液化せずに滅菌できたことがあり,当初より非常に効率的に実験を行うことができたため,消耗品をかなり抑えることができた.また,旅費に関しては,本校にて開催された学会での発表だったので旅費も合わせて抑えられた.次年度は,残額を不活化の因子特定のための実験器具装置の費用ならびに論文執筆に回す予定である.
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