| 研究課題/領域番号 |
18K04097
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| 研究機関 | 東京工業大学 |
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研究代表者 |
佐野 憲一朗 東京工業大学, 工学院, 助教 (60589307)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 直流送電システム / 直流系統 / 系統事故解析 / 自励式変換器 / 直流遮断器 / 基幹送電系統 |
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| 研究実績の概要 |
近年，洋上風力発電の導入に向け，多端子直流送電システム（多端子HVDC）の開発が行われている。将来的に普及した場合，これらは拡張および相互接続され，多端子HVDCによる基幹送電系統（直流系統）の構築に至る可能性も考えられる。しかし現状では，こうした直流系統が，基幹送電系統の要件を備えたものであるか否かが明らかではない。本研究では，多端子HVDCを拡張および相互接続することで，広域運用可能な基幹送電系統を実現するための基本概念の提示と検証を行うことを目的に，実施内容1：直流系統の構成法の検討，実施内容2：直流系統の制御・保護技術の開発，実施内容3：交直変換器の制御技術の開発，について取り組んでいる。
これまでの研究では，短期的な実用化のための直流遮断器を用いない直流系統と，中長期的な実用化のための直流遮断器を用いた直流系統について検討を実施した。これらの基本回路構成を考案し，またこれらの直流系統に事故が発生した際の制御・保護技術の開発を行った。そして，シミュレーションおよび実験に基づきその検証を実施した。また，直流系統に用いるような大容量の交直変換器が連系しても，交流系統側の電力品質を維持できる見込みを得られた。加えて，スケールダウン構成の直流系統および交直変換器を構築し，実験による原理検証を実施してきた。
こうした概念は体系的に整理された例はなく，学術的にも取り組む意義は大きい。本研究により直流系統の構築方法が明確になれば，今後導入される多端子HVDCを，将来の直流系統への拡張を見据えて設計できるようになり，長期に亘る設備の有効活用を可能にする。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【実施内容1：直流系統の構成法の検討】本項目では，広域連系にも対応できる直流系統の基本回路構成の開発を目的としている。今年度は，前年度の検討の結果，コストメリットがあることを確認した提案回路構成について，得られた知見を論文に取りまとめ，学会発表を実施した。さらに，考案した基本回路構成を適用した場合の課題であった発電設備の一時的な運転停止を避けるために制御法の改良を実施した。これにより，直流系統における事故前後で発電設備を運転継続できるようになることを確認した。
【実施内容2：直流系統の制御・保護技術の開発】本項目では，直流系統に事故が発生した際の，制御・保護技術の開発を目的としている。今年度は，直流遮断器を用いない直流系統について，直流線路に地絡事故および短絡事故が発生した際の制御・保護動作を開発し，スケールダウン構成の直流系統を構築し，実験的に検証を実施してきた。また，これまでシミュレーションによって得られた知見については，論文に取りまとめ国際会議で報告を行った。
【実施内容3：交直変換器の制御技術の開発】本項目では，大容量の交直変換器が交流系統に連系された際にも，交流系統側の電力品質を維持できる交直変換器の制御技術の開発を目的としている。今年度は，これまで考案およびシミュレーションにより検証してきた交直変換器の制御方法について，スケールダウン構成の交直変換器を構築して，実験による検証を実施した。また，その結果得られた知見は，論文に取りまとめ国際会議で報告した。
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| 今後の研究の推進方策 |
【実施内容1：直流系統の構成法の検討】これまでに考案した基本回路構成と発電設備を運転継続法について，得られた知見を論文に取りまとめ，学会等で報告する。
【実施内容2：直流系統の制御・保護技術の開発】直流遮断器を用いない直流系統について，現在行っている実験検証を完了させ，得られた知見を論文に取りまとめ，学会等で報告する。
【実施内容3：交直変換器の制御技術の開発】電力品質を維持できる交直変換器の制御方法について，スケールダウン構成の交直変換器を用いて取得した実験検証結果について，得られた知見を論文に取りまとめ，学会等で報告する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
当初発表を予定していた複数の国際会議が中止およびオンライン開催となり，旅費を支出する必要性が無くなった。この分の費用は令和3年度に実施する実験において，実験用設備および実験補助委託費に充当する予定である。
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