研究課題/領域番号 |
18K04098
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
原 亮一 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (80361872)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | デマンドレスポンス / 電力需給調整能力 / CGS |
研究実績の概要 |
本研究では需要家による電気の使い方を直接的・間接的に制御するデマンドデスポンス(DR)の持つ需給調整能力を評価するための手法を開発するとともに,その効果を実際の需要データに基づいて定量的に評価することを目的としている。 そのために平成30年度においてはΔkWh能力と名付けた,調整力そのものの大きさ(ΔkW能力)とその継続時間との積として定義したΔkWh能力を定義するとともに,特に電力需要と熱需要の双方を有する需要家を対象として,その評価方法を確立した。確立した手法は,単にハードウェア的な制約から実現可能な能力を評価するのではなく,その能力の確保・発揮に伴い生じるエネルギー供給コストとの関係性まで評価可能な手法である。具体的には,需要家側の電気・熱需要を所与のものとして,過不足なく需要に見合ったエネルギー供給を実施しつつ,各種設備の余力がどの程度あるのかを時系列で求める手法であり,設備のkW容量でけでなく,貯湯槽などの蓄エネルギー装置のkWh容量のマージンも考慮可能な手法である。 また,北海道地域における一般家庭における電気・熱需要プロフィルに対して実質的な評価を実施するとともに,ΔkWh能力に影響を与える要因分析を実施した。その結果,特に北海道における需要家では,貯湯槽の容量がΔkWh容量に大きな影響を及ぼしうることを明らかにした。すなわち,これまで一般的に議論されてきたようなkW容量だけに基づいた評価は不十分なものであり,その時間積分値にも配慮した評価が必要であるといえよう。 さらに,当初平成31年度に実施を予定していた小容量多数のリソースアグリゲーション技術の開発にも着手を始めており,基礎的な考え方を整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題では,【項目1】ΔkWh能力の評価方法の確立と定量的評価,【項目2-1】小容量多数のりソースアグリゲーション手法の開発,ならびに【項目2-2】北海道地域を対象としたDRリソースの有用性評価を研究項目として掲げ,それぞれ2018年度,2019年度ならびに2020年度に実施を計画していた。 前述の通り,2018年度に予定していた【項目1】は一定の成果を得ており,すでに項目2-1に着手し始めた状態にあり,当初の計画よりも速いペースで研究を進展させている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は引き続き,項目2-1の実施に注力する。なお,アグリゲーションの評価には比較的高い計算負荷を伴うため,基礎的な部分は2018年度中に着手したものである。ここで開発した手法は,2020年度に検討を予定している北海道エリアを題材とした具体評価につながる部分であるため,確実にプロジェクトを進捗させる。
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