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2018 年度 実施状況報告書

電気化学インピーダンス法による燃料電池の水素リーク計測

研究課題

研究課題/領域番号 18K04102
研究機関茨城大学

研究代表者

江口 美佳  茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (40302327)

研究分担者 鵜野 克宏  茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (10280710)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード固体高分子形燃料電池 / 電気化学インピーダンス法 / クロスオーバー
研究実績の概要

本研究では,燃料電池セルに既知の並列抵抗を接続することで,電圧急増を抑制しながら,電気化学インピーダンス分光(EIS)法によるガスクロスオーバー測定を試みた。
測定には電解質膜としてNafion212膜を組み込んだ固体高分子形燃料電池セルを使用した。セル温度,加湿器温度はそれぞれ室温とした。アノードには純水素を流し,カソード側への水素リークを模擬するため,カソードには窒素に少量の水素を混合したガスを流した。測定中にセル電圧が高くなり電極劣化が生じることがないよう,セルに51Ωの抵抗を並列に挿入した。カソード流量を変えて水素リーク量を調節しながらインピーダンスを測定した。
インピーダンスを測定しNyquistプロットを作成した。インピーダンス測定中,電圧の急増は観察されなかった。水素リーク量が少ない場合,Nyquistプロットは,大きな円の一部分のような形となった。これは,セルの電荷移動抵抗が非常に大きく,電気化学反応が起きにくい状態であることを意味している。これより水素欠乏状態の電極インピーダンスが計測されているものと思われる。水素リーク量が多くなると小さな円になった。これは,電荷移動抵抗が急に小さくなったことを意味している。インピーダンスと同時に電流を測定し,水素リーク量と比較すると,水素リーク量が少ない場合,電流と水素リーク量が比例した。しかし,水素リーク量が多くなると観察される電流がほぼ同じ値になった。未反応の水素が電極に残っている状態にあると推察される。従来の水素リーク計測法では,リーク水素はすべて電流になるとしてリーク量を求めているが,リーク量が大きい場合にはこのような誤差が発生することが分かった。
このように,EIS法を用いて電圧急増することなく,燃料電池の水素欠乏状態を観察することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

燃料電池セルに既知の並列抵抗を接続することで,電圧急増することなく固体高分子形燃料電池における水素欠乏状態を観察することができた。しかし,得られた電圧,電流や抵抗などの値が,予想した値と異なっていた。水素欠乏状態における新現象かどうかを確認するため,現在は規定の値を持つ抵抗やコンデンサを用いて正しい測定値が得られているかを確認している。

今後の研究の推進方策

進捗状況で記載したように測定した電圧,電流や抵抗などの値が,予想した値と異なっていた。そのため,規定の値を持つ抵抗やコンデンサを用いて正しい測定値が得られているかを確認し,予想と異なる結果が得られた原因を解明する。その後,水素が十分ある状態から水素欠乏状態まで水素欠乏の程度や並列抵抗の値などを変化させ測定条件の影響を調べる。また,燃料電池セルのインピーダンスを測定し,測定したセルインピーダンスと等価回路を基に算出した計算値を比較しながら,実際の物理現象と対応づけてモデルを確立する。

次年度使用額が生じた理由

本研究の目的は,EIS法による水素欠乏や水素リーク状況の診断の基礎となる水素欠乏や水素リークとインピーダンスとの対応関係を理論と実験の両面から解明することである。2018年度は,燃料電池セルでの結果における問題が発生したため,必要な測定を実施するに至らず,未使用が生じた。2019年度はこの問題を解決し,燃料電池スタックで同様の測定を行う必要があるが,所有している市販のEIS測定のための電気化学計測装置(AutoLab社PGSTAT128N)では,スペクトル解析の精度が不十分なので,当該経費でインピーダンスアナライザ装置を導入し,実験精度を向上させる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Nyquist線図による固体高分子形燃料電池の水素リーク診断2018

    • 著者名/発表者名
      郡司浩之、清水真季子、江口美佳、浅本麻紀子、堤泰行
    • 学会等名
      平成30年度 電気学会東京支部茨城支所研究発表会

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公開日: 2019-12-27  

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