研究課題
本研究では,簡便な方法でNMR信号が計測できる小型の磁気共鳴装置を開発するためのハードウェア(マグネット,信号検出用コイルと制御回路,磁場補正用コイルと駆動回路など)とソフトウェア(NMR信号取得・処理用)の両方について電磁場数値解析・電気回路設計および実証実験に基づいた検討を行い,研究期間の最終年度には開発したプロットタイプの小型磁気共鳴装置によるNMR信号の取得を目標として行っている。開発する核磁気共鳴装置は,発生磁場強度は1.5 Tの小型NMR Relaxometryであり,本年度は主にハードウェアについて検討し,研究実績は次のようになる。① 小型NMR Relaxometry用マグネットの開発:本研究では,磁場源として高温超伝導バルク体と次世代高温超伝導線材によるマグネットを提案しており,まず発生磁場強度1.5 Tと磁場補正無しの状態で磁場均一度100 ppm/cm3以上を得るためのマグネットの概念設計を行った。実用化を考慮した場合,室温空間の直径が40mm以上必要と考え,その室温空間に直径10mmの球状の空間を測定領域として制限した電磁場数値解析を行い,概念の設計が終わっている。②NMR信号検出用のコイルと制御・駆動回路の開発:NMR信号を検出するためには, 検出のコイルと 励磁(送信),駆動回路などが必要であり,現在デジタル式とアナログ式の2種類の信号測定回路について同時に検討しており,回路の基本設計が終わっている段階である。
2: おおむね順調に進展している
①小型NMR Relaxometry用マグネットの開発・高温超伝導バルク体の磁場源: 高温超伝導バルク体は,強力なピン止め効果により印加された磁場に対して強度と形状をそのまま捕捉することができる。高温超伝導バルク体を磁場源として使うために,磁場中励磁法を用いて現有している10T級の超伝導マグネットと同じ寸法について3次元電磁場数値解析による検討を行った。まず,励磁用超電導マグネットによる磁場均一度を向上させるための磁性体の形状と配置について検討し,磁場均一度を向上させた状態で高温超伝導バルク体による形状最適化について検討した。現在では,概念形状設計が終わった段階である。・高温超伝導線材の磁場源:高温超伝導線材を用いたマグネットの場合,高温超伝導バルク体による磁場源より設計自由度が高く,磁場均一度を向上させることも可能となる。しかしながら,次世代高温超伝導線材は非常に高価であるため,線材の使用量を考慮した設計を行う必要があり,三つの基本構造について3次元電磁場数値解析による検討を行い,基本構造を決定した。②NMR信号検出用のコイルと制御・駆動回路:NMR信号を検出するためには, 検出のコイルと 励磁(送信),駆動回路などが必要であり,デジタル式とアナログ式の2種類の信号測定回路について同時に検討しており,回路の基本設計が終わっている段階である。上記の研究成果は,順調に進んでいると評価される。
ほぼ予定通りに研究が進んでおり,概念設計が終わった段階なので,その基本形状をベースとした最適化を予定とおり進めていく。
他に発生した予算で物品購入することができたので次年度使用額が生じており,合わせて次年度の物品購入に充てる。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 8件)
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