研究課題
本年度は主に高温超電導バルク体と高温超電導(REBCO)線材による小型MRI用静磁場源に関する検討を行った。主な研究成果は下記のようになる。① 高温超電導バルク体による小型MRI用マグネットの開発:近年,single-direction melt growth (SDMG)法が提案され,既存の高温超電導バルク体のサイズより大型化が可能であることが示された。そこで,直径140 mmの高温超電導バルク体2個を使用した小型MRI用マグネットの最適形状について電磁場数値解析に基づく検討を行った。今まで採用した磁場中冷却法では,測定空間での発生磁場強度3Tについては実現可能であるが,100ppmの磁場均一度を得ることが非常に難しいことが明らかになった。そこで,一度磁場中冷却法で磁束が捕捉されたバルク体に対して再度励磁を行うことでバルク体内の超電導電流密度分布を制御し,測定空間内の磁場均一度を大幅に向上させることに成功した。② REBCO線材による小型MRIマグネットの開発:分散型遺伝的アルゴリズム法を用いてテープ形状の次世代高温超電導体であるREBCO線材による小型MRI用マグネットの形状最適化について検討した。テープ形状に起因する遮蔽電流による小型MRI用マグネットの不整磁場問題はマグネットのサイズが小さいほど顕著であり,最適化課程においてマグネットに発生する遮蔽電流分布を正確に考慮すべきである。しかし,既存の遮蔽電流分布に関する簡易計算法による結果と有限要素法に基づく電磁場解析により正確に計算された結果とは乖離が大きく,形状最適化手法において簡易計算法は不十分であることが明らかになった。そこで,本研究では遮蔽電流分布についてマグネットを空間的に分割し,さらに自己インダクタンスと相互インダクタンスを考慮した手法を提案し,その妥当性について証明した。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 8件) 備考 (1件)
IEEE Transactions on Applied Superconductivity
巻: 33 ページ: 1~5
10.1109/tasc.2023.3248519
10.1109/TASC.2023.3247685
10.1109/TASC.2023.3252490
Superconductor Science and Technology
巻: 36 ページ: 014005~014005
10.1088/1361-6668/aca5b9
10.1109/TASC.2023.3259923
巻: 33 ページ: 1~4
10.1109/TASC.2023.3258911
https://www.cc.okayama-u.ac.jp/~eng_ase/