研究実績の概要 |
電磁誘導方式によるワイヤレス電力伝送システムについて、より簡易に利用できるシステムとするために本研究では、既に多くの数式モデルや制御法が報告されているモータ駆動システム制御法をワイヤレス電力伝送に適用した。 項目A「モータ駆動システムとワイヤレス電力伝送の共通点整理」では、モータ駆動システムとワイヤレス電力伝送について整理、課題出しを行った。システムを最も簡単化するために1次側を三相電圧源と変圧器のみ、2次側をダイオードブリッジによる整流回路と負荷抵抗で構成した。シミュレーションにより電力伝送特性を得た。電圧と電流についてd,q軸成分で整理することによりベクトルとして運転特性を確認できるようになった。 項目B「ワイヤレス電力伝送システムへのモータ駆動システム制御法の適用」では、まず方形波駆動を適用しシミュレーションによる特性確認を行った。電流制御が適用できることを確認し、制御器ゲイン設計の検討を行った、また、伝送コイルについて磁界解析ソフトウェアを用いて特性比較し、実験に用いるコイル仕様を決定した。 「C. シミュレーションと実機実験による有効性検証」では、方形波駆動だけでなくパルス幅変調によるインバータ駆動についても特性比較を行った。その結果、制御器の安定性と電流リプル低減の観点から、インバータのスイッチング周波数適用可能範囲内でパルス幅変調を適用した方が良いことが分かった。また、モータと比較してワイヤレス電力伝送は基本波周波数も高いため、電流サンプリングによる位相遅れについても補償する効果が大きいことが分かった。 なお、当初計画していた伝送電力制御については、コイル間距離の変化を考慮したモデリングと制御法の構築に時間を要しており今後継続して取り組むべき課題も残った。
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