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2019 年度 実施状況報告書

高度人体ファントムを用いた体内デバイスのリアルタイム位置推定技術

研究課題

研究課題/領域番号 18K04123
研究機関千葉大学

研究代表者

高橋 応明  千葉大学, フロンティア医工学センター, 准教授 (70267342)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード体内無線電力伝送 / 位置推定 / 体内アンテナ / リアル人体ファントム / カプセル内視鏡 / 角度補正 / ヘリカルアンテナ / 脂肪・筋肉・大腸・小腸ファントム
研究実績の概要

現在のカプセル内視鏡は内蔵された電池を動力源としており,撮像回数や解像度に限界がある.また,電池には有害物質が含まれており,人体内部での漏洩を考慮すると,カプセル内視鏡の動力源として好ましくない.そこで本研究では,電池による問題の解決を目的とした,電波方式を採用したカプセル内視鏡への無線電力伝送技術の開発を行っている.提案している方法は画像データの送受信と無線による電力の供給を同一のアンテナで行えるため,カプセル内視鏡の省スペース化に貢献できることもメリットとして挙げられる.
今年度は,最終的な目標である高精細人体ファントムを用いたカプセル内視鏡への電力伝送実測および位置推定の実測に向けた,送信・受信アンテナの作製や各部位の人体ファントムの開発を行った.
まず,カプセル内視鏡用アンテナの開発について述べる.先行研究より提案されているヘリカルアンテナを参考に,より反射係数の優れた折り返し構造を有するヘリカルアンテナを設計した.また,本アンテナは従来のアンテナに対して,安価・作製が容易といった特徴も持つ.実際に折り返し構造を有するヘリカルアンテナの作製を行い,筋肉と脂肪ファントムで構成される簡易的な人体モデルを用いて実測したところ,解析値と同等な,使用可能と判断できる性能を得られた.
次に高精細人体モデルを再現するための脂肪・筋肉・大腸・小腸ファントムの開発を行った.脂肪・筋肉は,液体小腸を入れる型でもあるので,電気定数のみでなく液体を入れても耐えうる強度にする必要がある.今までの脂肪は,脂肪の比誘電率の低さを達成するべくポリエチレンパウダーを大量に使用していたため,崩れやすく強度に問題があった.今回は新たにエマルジョン型離型剤(シリコーン)を材料としたことで粘性が増し,強度が高まった.これにより高精細人体ファントムを使用した実測に向けて,課題を抽出し対策を検討した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

無線電力伝送システムで使用する2線式スパイラルアンテナと折り返し構造を有するヘリカルアンテナの作製を終え,簡易的な人体モデルで実測したところ解析値とほぼ同等な結果が得られたことから,アンテナの有用性が確認できた.簡易的な人体モデルは筋肉と脂肪のみで構成されるが,今年度はそれらに加え小腸・大腸のファントムを開発し,実測に使用可能であることを確認した.
人体簡易モデルにおける位置推定アルゴリズムはほぼ完成したため,アルゴリズムのコーディングに移った.同時に,高精細人体モデルを用いた位置推定アルゴリズムに関する解析を行った.腹部の湾曲や内臓の複雑な形等の理由から,アルゴリズムにおける課題が得られた.特にカプセル内視鏡が小腸の端に位置する時の位置推定精度を高める必要がある.対策としてカプセル内視鏡からの電波を受信するアンテナの配置箇所の拡大や個数を増やすことが考えられる.

今後の研究の推進方策

来年度は,まず送電アンテナであるスパイラルアンテナのアレーシステムを構築し,伝送効率の向上を目指す.アレー化にあたり,必要であれば小形化に向けた送電アンテナの再設計も行う.高精細人体モデルを用いた解析を通して,送電側のアレーアンテナの性能を評価し,完成し次第実測に移る.
位置推定アルゴリズムの改良も行う.高精細人体モデルによる解析で判明した,内臓の複雑な形等を原因とした推定誤差を減らす対策を講じる.また,改良した送受電アンテナと既存のアルゴリズムを用いて位置推定の解析を行う.
高精細人体モデルを用いた実測として,電力伝送効率の測定と位置推定アルゴリズムの検証の二つが挙げられる.来年度はこれら二つの実測を目標とし,カプセル内視鏡への無線電力伝送システム全体の評価に向けて研究を進める予定である.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Localization method using received signal strength for wireless power transmission of capsule endoscope2019

    • 著者名/発表者名
      D.Hiyoshi and M.Takahashi
    • 雑誌名

      IEICE Trans. Commun.

      巻: E102-B ページ: 1660-1667

    • DOI

      10.1587/transcom.2018EBP3328

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 高精細数値人体モデルにおけるカプセル内視鏡の3次元位置推定2020

    • 著者名/発表者名
      佐々木凛太郎,高橋応明
    • 学会等名
      電子情報通信学会 信学技報
  • [学会発表] 高精細人体モデルを用いたカプセル内視鏡の位置推定と実測2020

    • 著者名/発表者名
      佐々木凜太郎,高橋応明
    • 学会等名
      2020年電子情報通信学会総合大会
  • [学会発表] Location estimation technique for in-body devices using RSS2019

    • 著者名/発表者名
      M.Takahashi
    • 学会等名
      2019 URSI-Japan Radio Science Meeting
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Measurement of the localization for wireless power transmission to the capsule endoscopy2019

    • 著者名/発表者名
      S.Nakamura, D.Hiyoshi, K.Yoshida and M.Takahashi
    • 学会等名
      2019 International Symposium on Antennas an Propagation
    • 国際学会
  • [学会発表] Position estimation of capsule endoscope using high-definition numerical human body model2019

    • 著者名/発表者名
      R.Sasaki and M.Takahashi
    • 学会等名
      2019 International Symposium on Antennas an Propagation
    • 国際学会
  • [学会発表] Analysis of power transmission efficiency of capsule endoscope antenna2019

    • 著者名/発表者名
      K.Yoshida and M.Takahashi
    • 学会等名
      Asian Wireless Power Transfer Workshop 2019
    • 国際学会
  • [学会発表] 簡易腹部モデルを使用したカプセル内視鏡の位置推定の実測2019

    • 著者名/発表者名
      中村匠吾,日吉大二朗,吉田享平,高橋応明
    • 学会等名
      電子情報通信学会 信学技報
  • [学会発表] カプセル内視鏡における無線電力伝送用送受電アンテナの開発2019

    • 著者名/発表者名
      吉田享平,高橋応明
    • 学会等名
      電子情報通信学会 信学技報
  • [学会発表] 高精細数値人体モデルを用いたカプセル内視鏡の位置推定2019

    • 著者名/発表者名
      佐々木凜太郎,高橋応明
    • 学会等名
      2019年電子情報通信学会ソサイエティ大会

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公開日: 2021-01-27  

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