研究課題/領域番号 |
18K04130
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
小川 晃一 富山大学, 学術研究部工学系, 教授 (60601854)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 無線充電医療センサー / 偏波制御DRレクテナ / 歩行人体ファントム / 3次元OTA評価装置 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、電池いらずで動作し続ける無線充電医療センサーを実現する偏波制御DRレクテナの開発である。これを実現するための課題は、①電波を直流に変換する整流器の高効率化、②人体装着時に生じる人体の動きとセンサーに到来する電波の偏波特性の相互作用による受信電力の低下、③人の歩行動作に起因する電波シャドウイングによる激しい信号瞬時遮断現象の克服の3点である。 2019年度は、更なる高効率化を目指してより高いQファクターを有する同軸誘電体共振器を用いて新しいレクテナを製作し、-10dBmで45%、0dBmで82%の変換効率を達成した。これは、従来のレクテナと比較して変換効率は、-10dBmで13%、0dBmで23%向上した。 無線電力伝送において高周波を直流に変換する検波回路(レクテナ)について高効率化を実現するメカニズム解明を実施した。RLC並列共振回路を用いることによりλ/4同軸誘電体共振器の等価回路モデルを構築できた。その回路を用いて同軸誘電体共振器のQ値の違いによる信号増幅現象の効果を明らかにし、Q値による共振電圧の増幅現象が並列共振等価回路によって確認できた。理論と実験によってシャントキャパシタを付け加えてもQ値は変わらないことを確認した。レクテナのダイオードを含んだRF-DC変換特性を回路のRFモデル、DCモデル、ダイオード特性、理論式を用いて導出した。ダイオードの寄生抵抗を考慮したシンプルな導出過程で出力電圧と変換効率のどちらの結果も概ね一致することが確認できた。 また、腕振りのみならず脚振りも考慮できる電磁ファントムの開発を行い、統計データにより得られた人の歩行動作を模擬できるよう、ファントムの制御プログラムを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に沿って研究を進めており、2019年度は概ね研究成果を得ることができた。 更なる高効率化を目指してより高いQファクターを有する同軸誘電体共振器の開発に成功した。また、研究成果は学会で口頭発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、開発した人の歩行動作を模擬できるファントムにレクテナを装着し、歩行動作に起因する電波シャドウイングによる激しい信号瞬時遮断現象の克服について検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、若干の未使用額が発生した。 2020年度の計画として実証実験において使用を予定している。
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