研究課題
本研究では,産業機器やロボットを無線により遠隔制御を行う無線制御システムについて,通信と制御のクロスレイヤ最適化によるシステムの高性能化を目指し,以下の2つの観点から研究に取り組んだ.A. システム制御の理論を応用した通信リソース割当方式: 制御レイヤの理論を通信レイヤの無線通信リソースの割当へと応用した.具体的には,制御レイヤの制御則に基づいて,無線フィードバック制御における誤り訂正符号の割当を最適化する方式,IEEE802.15.4規格における多元接続を最適化する方式,自律分散制御における制御情報の送信頻度を最適化する方式を考案した.シミュレーション評価により,通信レイヤと制御レイヤの両方の性能に及ぼす効果,ひいては,システム全体としての制御性能向上を明らかにすることで,提案方式の有効性を示した.B. ROS制御フレームワークが通信レイヤに与える影響の明確化: ROS制御フレームワークに則った適切な通信モデルを構築するために,ROS制御フレームワークのプロトコルが通信レイヤの性能に与える影響を評価した.Raspberry Piマイコンボードを搭載した小型移動ロボットとコントローラを用いて一対多型の複数移動体のフィードバック制御実験系を構築し,ROSの非同期なトピック通信方式により生じる通信の混雑が制御品質に与える影響を実験的に明らかにした.また,制御情報の通信にかかる実際の通信時間とROSのオーバーヘッドの関係性について,制御対象がトピック通信方式によりコントローラから制御情報を取得するSubscribeのオーバーヘッドが通信時間以上の遅延となることを実験的に明らかにした.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
IEICE Communication Express
巻: - ページ: -
10.1587/comex.2022XBL0071
巻: vol.10, no.9 ページ: 769-774
10.1587/comex.2021XBL012