研究課題
ビッグデータ解析のためのデータ圧縮法の開発に取り組んだ.初年度にあたる今年度は,交付申請前の事前準備段階から進めていた研究内容を更に進めるところから取り組んだ.具体的には,多端子仮説検定問題の誤り指数に関する研究に取り組んだ.第2種の誤り確率の達成可能な最適は,第1種の誤りに対する制約条件の違いにより,複数の定義があり得る.本研究では,複数の達成可能最適誤り指数の間に成り立つ一般的な関係式を導出した.さらに,一対多の有歪み情報源符号化に関する研究も行った.この場合,誤り確率(歪みが許容値を超える確率)に対する制約の違いにより,達成可能な最適レートが複数定義される.本研究では,他端子仮説検定に関する成果と同様の証明手法を用いて,複数の達成可能最適レートの間に成り立つ一般的な関係式を導出した.さらに,情報源符号化と推測問題(観測データに関する推測を行う推測を行う問題)との関係性に関する研究を行った.ビッグデータに対して推測を行う場合,全ての結果を列挙して正解に到達するまで推測を行うことは現実的ではなく,途中で推測を打ち切ることが必要になる.本研究では,このように途中で推測を打ち切ることを許容する推測問題と,復号誤りを許す情報源符号化との関係を考察した.具体的には,条件付スムースRenyiエントロピーの新たな定義を提唱し,情報源符号化問題および推測問題のいずれの問題に対しても,提唱した条件付スムースRenyiエントロピーを用いることで符号化定理を記述できることを証明した.
2: おおむね順調に進展している
交付申請前の事前準備段階から進めていた研究内容を更に進めることができた.その結果,その部分の成果に関しては査読有の英文論文誌に掲載された.また,情報源符号化と推測問題に関する研究に関しては,国内学会および海外の研究会にて一部成果を報告できている.
まずは,今年度得られた新しい成果である,条件付スムースRenyiエントロピーに関する研究を深化させる方針である.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
IEICE TRANS. FUNDAMENTALS
巻: E101-A ページ: 2082--2090
10.1587/transfun.E101.A.2082