研究課題
本研究課題の目的は,結合型無線電力伝送システムのレイアウトの自由度を飛躍的に向上させる円環配列構造メタ表面を創成し,メタ表面の電気的特性を変化させることで電磁気的禁制空間を形成できる可能性を示すことである.平成30年度には円環配列構造メタ表面の提案,最適な構造パラメータの検討を行い,令和元年度にはメタ表面を結合型無線電力伝送システムに適用した際の効果について検討を行った.最終年度である令和2年度はメタ表面による電磁気的禁制空間を形成できる可能性を示すべく,メタ表面と結合型無線電力伝送システムとの空間的な配置による特性,メタ表面自体の高機能化,実証のための電磁界測定システムについて検討を実施した.空間的な配置による特性を検討した結果,円環配列構造メタ表面の中心軸と結合型無線電力伝送システムの中心軸が各々の半径程度ずれたとしてもメタ表面が十分な磁気壁特性を示すと同時に,当初の予測通り,円環配列構造メタ表面と結合型無線電力伝送システムとの距離が近ければ近いほど効果を発揮し,電力伝送効率が10%以上向上することを実証した.メタ表面自体の高機能化については,メタ表面を構成する単位構造間にキャパシタを装荷してバンドギャップを調査した結果,周期構造のバランスが崩れ,バンドギャップを示す周波数帯が大きく遷移することを確認した.これは,電気的にバンドギャップを制御できること,メタ表面の直上に置かれたシステムを不活性化できることを示唆する結果であり,今後の研究の展開に有用な知見を得たと言える.また,これらの効果の実証には本研究課題の一環として新たに構築した近傍電磁界測定システムを使用しており,構築した測定システムは無線電力伝送システムのみならず,5Gやこれ以降の無線通信システムにおけるアンテナシステムの測定にも新たな道を拓くと期待できるものである.
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件)
IEICE Communications Express
巻: Vol.X10-B, No.9 ページ: -
10.1587/comex.2021SPL0042