研究課題/領域番号 |
18K04151
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
山村 清隆 中央大学, 理工学部, 教授 (30182603)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 非線形理論・回路 / 非線形数値解析 / 大規模集積回路 / 回路シミュレーション / 全解探索 / 数理計画法 / ホモトピー法 / 整数計画法 |
研究実績の概要 |
本年度は、(1) ホモトピー法を用いた非線形回路の大域的求解法に関する研究、(2) 線形計画法を用いた非線形回路のすべての解を求めるアルゴリズムに関する研究、(3) 整数計画法を用いた区分的線形区間方程式のすべての解集合を求めるアルゴリズムに関する研究、の三つのテーマに関して、「計算効率の改善」「実用性の向上」などの観点から総合的に研究を行った。またその成果を随時学会論文誌や国際会議等で発表した。具体的には、以下のような研究を行った。 (1) 欧米で多用されている「可変利得ホモトピー法」の計算効率を大幅に改善した新しいホモトピー法を提案し、その大域的収束性を証明するとともに、インプリメンテーションを容易化する方法を考案した。またその成果をIEEE 2018 APCCAS, 電子情報通信学会非線形問題研究会などで発表した。 (2) 線形計画法(双対単体法)を用いて解の非存在判定を行う新しい方法として「三角形LPテスト」を開発し、この方法を用いた非線形回路の全解探索法を提案した。またこの方法が従来の方法と比べて非常に効率が良いことを数値実験により検証した。またその成果をIEEE 2018 APCCAS, IEEE 2018 NCNなどで発表した。 (3) 整数計画ソルバーCPLEXを用いた区分的線形区間方程式のすべての解集合を求めるアルゴリズムを提案した。またこの方法が従来の方法と比べて圧倒的に効率が良いことをシミュレーション実験により検証した。この方法は複雑なプログラミングを必要としないため実装が容易で、かつ非常に効率が良い。またこの方法により非線形回路のすべての特性曲線が得られることを示した。またその成果をSCAN 2018, IEEE 2018 NCNなどで発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
・可変利得ホモトピー法の計算効率を大幅に改善する方法を提案し、回路シミュレーション非収束問題の解決に向けて更に前進するとともに、学会でも高い評価を受けた。 ・様々な分野で利用され、Microsoft Excelにも組み込まれている本研究室独自の技術であるLPテストに対し、斜交座標系の概念を導入することにより少ない制約条件数でより強力かつ効率的な解の非存在判定を行う方法へと進化させた。 ・「連続系の全解探索問題」に「離散系の最適化ソルバー」を適用するという新しい方法論を確立し、区分的線形区間方程式のすべての解集合を求めるという難問に対し、複雑なプログラミングを行うことなく短時間ですべての解集合を求める方法を提案した。 ・権威のある国際会議(IEEE, SCANなど)で多くの論文を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
これまで通り、研究代表者とその大学院生を中心に、学会や産業界との連携をとりながら研究を進める。研究テーマに関しては、線形計画法や整数計画法など他分野の手法を積極的に取り入れ、独創性の高いアプローチの研究を展開していく。また国内外の権威ある論文誌に積極的に論文を投稿する。
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