研究課題/領域番号 |
18K04153
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
福地 裕 東京理科大学, 工学部電気工学科, 准教授 (70366433)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | フォトニックネットワーク / 超高速情報処理 / 先端機能デバイス / 光スイッチ / 先端的通信 |
研究実績の概要 |
インターネットを基軸とした将来のグローバルなエクサビット級高度情報化社会では、そのバックボーンを形成する光情報通信ネットワークにかつてない超大容量性が要求される。このようなシステムを構築するため、ディジタルコヒーレント光通信システムの研究開発が活発化しており、ネットワーク化には高機能で超高速広帯域の中継ノードが必須になると考えられる。 本研究では、理論および実験の両面から、擬似位相整合ニオブ酸リチウムアレイ光導波路の高次非線形光学効果を用いた様々な高度全光コヒーレントシリアル・パラレル信号処理を考案し、超高速広帯域でスマートな光ネットワークノードの実現を目指している。 具体的な研究計画は以下の通りである。まず、詳細な数値解析により当該デバイス特性を解明し、光ノードとしての設計論の確立と当該最適設計を行う。次に、これをもとに最適化されたデバイスを試作し、基礎実験として各種基本特性を測定する。最後に、システム実証実験や研究の総括を行い、成果全体を広く国内外に公表したい。 初年度である2018年度は、擬似位相整合分布制御ニオブ酸リチウムアレイ光導波路の結晶・構造パラメータを制御することによる高次の非線形光学効果を用いた、各種全光コヒーレント信号処理に対する特性解析を行い、次年度以降のデバイスの試作や各種の実験に備えた。なお本解析では、シリアルに高機能な信号処理が実現され、なおかつ複雑大規模な処理にも対応できるように分極反転周期を制御した場合や、高度のパラレル処理にも対応できるように結晶中で光導波路をアレイ化した場合等も想定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度実施した数値計算は、基本的には導波路解析であり、また高い解析精度を実現するため周波数軸上で行った。さらに、最適化するパラメータの数も極めて多く、計算が非常に複雑で大規模であった。 このため、申請者の研究室でこれまでに整備した多くの電子計算機や所属大学の高性能の計算機を用いて解析を行った。さらに、高速の電子計算機を新たに導入したため、効率的かつ効果的に解析を進めることができた。 以上により、本研究課題の現在までの進捗状況は、おおむね当初想定した研究計画通りに順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、解析で得られた最適パラメータを有する当該アレイ光導波路を試作する。次に、試作したデバイスの各種基本特性を測定し、設計時の要求仕様や性能等を満足していることを確認する。具体的には、所望の非線形効果が得られること、増幅特性や雑音特性、変換効率、波長レンジ、動作可能な入力信号電力、高速限界等を測定する。これらの実験成果は、国内外の学会に発表する。 最終年度は、各種のシステム実証実験を行う予定である。最後に、3年間の研究成果をまとめて、雑誌論文への投稿や研究室ホームページへの掲載、オープンキャンパスや各種セミナー、学会でのブース展示等、広く社会・国民に発信したい。また、本研究の問題点とその改善法を検討し、研究内容のさらなる拡大と発展を目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該次年度使用額は、ごくわずかであり、今年度の直接経費はほぼ全額使用できたと考えられる。この未使用額は、今年度の研究計画に沿った数値計算のために導入した電子計算機の性能を必要十分のものとしたため、購入価格を当初の予定よりわずかに下げられたことによる。 この未使用額は、次年度の実験の際に必要となる、光ファイバコネクタ等の購入のために充当する予定である。
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