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2020 年度 実施状況報告書

円偏波放射メタマテリアルラインを基礎とした特性再生可能アンテナの理論構築と実現

研究課題

研究課題/領域番号 18K04154
研究機関法政大学

研究代表者

中野 久松  法政大学, その他部局等, 名誉教授 (00061234)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードメタマテリアル / 円偏波アンテナ / 特性再生可能 / 放射パターン
研究実績の概要

従来のビーム走査アンテナは, 移相器を装着した多数の直線偏波放射素子から構成されている. 放射ビームを特定方向に向けるためには, 各放射素子からの放射界の位相を移相器によって変える必要がある. この場合, 放射ビーム方向がアンテナ正面からずれるにつれて, 利得(感度)が落ちる等の不具合が生じる. つまり, 従来の走査アンテナでは, ビーム方向が異なると同じアンテナ特性が再生されないという欠点があり, 特性再生可能アンテナ(RecANT)とは言えない. さらに付け加えるならば, 直線偏波放射素子を使用した通信では,「送信アンテナと受信アンテナの偏波面を同方向(平行)にしなければならない」という制約がある. これに対し, 円偏波放射素子を使用した通信では「偏波面を合わせる必要がない」ことが学術上から既に知られている. この優位性があるにもかかわらず, 円偏波走査アンテナの構築がむずかしい故に, これまでのところ, ビーム方向が変わっても同じアンテナ特性(放射パターン, 入力インピーダンスなど)を再現する円偏波用特性再生可能アンテナの実現例は皆無に近い. 換言すれば,「新概念を構築し, 移相器を用いないで, 円偏波用特性再生可能アンテナ(RecANT)を創造することは可能であろうか?」との学術的問いが生じている現況にある.
上記の問いに答えるために2018年度は円偏波メタマテリアル細胞の創造に力を注ぎ, この細胞から成る線状メタラインを考察し, 基礎データを収集した. この成果をもとに 2019年度は, 円偏波線状メタラインから成るRecANTを構築し, その特性を解明した. 2020年度は2019年度のRecANTの表面積を約50%程度に縮小化した場合を検討した.加えて本研究に関連する基礎知見を,一部,論文として公表した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2018年度は円偏波メタマテリアル細胞の創造に力を注ぎ, この細胞から成る線状メタラインを考察し, 基礎データを収集した. この成果をもとに 2019年度は, 円偏波線状メタラインから成るRecANTを構築し, その特性を解明した. 2020年度はRecANTの表面積を約50%程度に縮小化した場合を検討した. 以下に検討項目を具体的に述べる.(1)線状メタラインを折り曲げることによりRecANTを小型化した.この時,給電法を変えても, 同じアンテナ諸特性が再現できるように,構造を最適化している.(2)最適構造RecANTに於いて, 次のaからdの周波数特性を解析した. a.円偏波放射パターン, b.円偏波率, c.円偏波利得, d.入力インピーダンス.(3)以上の周波数特性を実験により確認するためにRecANTを製作し, aからcまでを測定した. しかしながら,(4)dの入力インピーダンスの測定は,コロナ禍により研究施設の使用時間が限られていたため, 遂行できなかった.

今後の研究の推進方策

コロナ禍のために, 遅延状態にある「入力インピーダンスの周波数特性についての実験検証」を遂行する. これが遂行されると予定していた全ての実験検証が終了する. 終了後, 本研究に関する理論を体系化していく.

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により研究施設の使用時間が限られたため, 一部,実験検証が遂行できなかった.2021年度に遅延状態にある実験検証を遂行する. このために,2021年度使用可能額255892円を,実験協力者への謝金と実験用誘電体基盤の購入に使用する予定である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Phase progression of a radiation field from circular and square active regions2021

    • 著者名/発表者名
      Hisamatsu Nakano, Tomoki Abe, Junji Yamauchi
    • 雑誌名

      IEEE Access

      巻: 9 ページ: 14710-14724

    • DOI

      10.1109/ACCESS.2021.3051949

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Theoretical investigation of radiation in the normal direction for a metaloop antenna2020

    • 著者名/発表者名
      Hisamatsu Nakano, Tomoki Abe, Junji Yamauchi
    • 雑誌名

      IEEE Access

      巻: 8 ページ: 122826-122837

    • DOI

      10.1109/ACCESS.2020.3007505

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Beam-steerable antenna composed of metalines2020

    • 著者名/発表者名
      Hisamatsu Nakano, Tomoki Abe, Amit Mehta, Junji Yamauchi
    • 学会等名
      IEEE International Symposium on Antennas and Propagation and USNC-URSI Radio Science Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] Metaline application to a linearly polarized wave beam-steering antenna2020

    • 著者名/発表者名
      Hisamatsu Nakano, Tomoki Abe, Junji Yamauchi
    • 学会等名
      Asia-Pacific Microwave Conference
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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