研究課題/領域番号 |
18K04155
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
片山 光亮 早稲田大学, 理工学術院(情報生産システム研究科・センター), 講師(任期付) (90538026)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 平面フィルタ / エッジモデル / 群粒子最適化 |
研究実績の概要 |
本「無線接続クラスタ型スーパーコンピュータを実現する小型RFフロントエンドの研究」は、要素技術として (1) 伝送線路―導波管変換器 (2) 位相調節機構 (3) 高効率増幅器 からなる。 (1) では、従来F行列の縦続接続として表現されていた伝送線路特性へ伝送線路接続部特性(エッジモデル)の埋め込みを行うことで、伝送線路特性を高精度に見積もる方法を提案し、電気・情報関係学会九州支部連合大会において「平面フィルタ学習のための、教師データ生成」を発表し、国際非線形・通信・信号処理学会において「平面フィルタ生成のための、エッジモデル抽出及び埋め込み」を発表した。これらの技術を用いることで従来、数時間かけて電磁界解析により得られていた伝送線路形状からの高精度な周波数特性が、数ミリ秒で得られるようになった。 (2) では、位相調節のための電圧源を設計中である。 (3) では、鳥や魚の集団行動に学んだ群粒子最適化と呼ばれる技術を増幅器の設計へ導入することで、増幅器の利得・帯域・安定性・消費電力を総合的に考慮して自動設計することができるようになった。これにより、10dB以上の利得を持つ24GHz広帯域増幅器が1時間以内で設計でき、結果をサービスコンピューティング研究会において「24GHz増幅器のパラメータ」として発表し、信号処理学会論文誌では「群粒子最適化を用いた24GHz増幅器の総合的設計」として発表した。この技術により、増幅デバイスの性能を最大限に引き出すことができるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は要素技術として (1) 伝送線路―導波管変換器 (2) 位相調節機構 (3) 高効率増幅器からなる。(1) に関しては設計にとどまらず、高速・高精度に周波数特性を見積もる方法を提案・発表することができたため、当初の計画以上に進展している。(2) に関しては設計中であり、発表には至っていないため、当初の計画からはやや遅れている。 (3) に関しては設計にとどまらず、総合的な性能を考慮して増幅器を自動設計するシステムを提案・発表することができたため、当初の計画以上に進展している。 以上、(1) と (3) に関して当初の計画以上に進展、(2) に関してはやや遅れていることから勘案し、 総合的にはおおむね順調に進展していると思われる。今後は (2) に関してより注力することが肝要であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
伝送線路形状から周波数特性が精度良く、高速に得られるようになった。この技術を発展させて、逆方向、つまり周波数特性から伝送線路形状を得られる研究をし、伝送線路―導波管変換器の設計に役立てる。位相の調節機構を実現するためには、高い分解能と低雑音特性を持つ電圧源が必要となる。この電圧源を実現する理論構築と機能シミュレーション及び設計を急ぐ。群粒子最適化により、高性能な増幅器を自動設計できるようになったが現状、能動デバイスの段数が1、結合数が1のため、利得と出力電力の範囲が限られている。これら段数や結合数を自由に選択できる増幅器の自動設計方法を確立する。進捗に応じて、大学院生の協力を仰ぎ、着実に研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究要素技術のひとつ、位相器に用いるプログラマブル電源の設計が遅れているため、関連する物品の購入費、測定施設の利用料、学会発表の旅費などの計上が行えなかった。早急にプログラマブル電源を設計し、位相器の研究が当初の予定に追いつけるようにする。本年度利用予定であった予算は、次年度に滞りなく利用できるよう留意する。
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