本研究課題「無線接続クラスタ型スーパーコンピュータを実現する小型RFフロントエンドの研究」は、複数の計算ノードを無線で束ねて計算速度の台数効果を得る。しかしながら十分な台数効果を得るためには、高速な通信を実現するRFフロントエンドが必要不可欠である。実際の運用を考慮した場合、RFフロントエンドは小型であることが望ましい。RFフロントエンドの大きさを決めるのは主にアンテナであるため本研究では、(1) クラスタ型スーパーコンピュータに適した放射パタンと、(2) 高利得性と広帯域性を持ち、(3) 平面回路により構成された小型アンテナを開発した。小型化のために、高利得な八木アンテナをプリント基板上に構成し、放射パタン形成のために2つの八木アンテナを並置するスタック構造を採用した。2つの八木アンテナへ広帯域かつ低挿入損でRF信号をインタフェースするために、ラットレースバランを用いた。このアンテナを用いて、無線接続クラスタ型スーパーコンピュータを実現したため、研究成果 “Wireless Distributed Computing System Using High-Gain Array Yagi-Antenna” を学術論文誌へ掲載した。無線接続クラスタ型スーパーコンピュータに適した増幅器やフィルタ等、アンテナ以外のRFフロントエンドに関する内容は、“System and Component Design for Wireless Distributed Computing”と題して国際会議で発表した。RFフロントエンド開発時に必要な部品の高周波特性を得る方法も検討し、検討内容「1ポートデエンベディング手法の比較」を研究会で発表した。
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