研究課題/領域番号 |
18K04159
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
船水 英希 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90516486)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 血液細胞 / ディジタルホログラフィ / 顕微鏡 / フローサイトメトリ |
研究実績の概要 |
本研究では,フローサイトメトリ法に基づく血液検査装置に,無染色で細胞形状のリアルタイム3次元計測が可能なディジタルホログラフィック顕微鏡を適用して,高速・高精度診断と各細胞形状の微視的観察を同時に実現し,従来の顕微鏡ではリアルタイム取得が困難な位相情報による血液細胞の3次元構造の復元および特徴抽出により,新規な血球識別・分類性能をもつ診断装置の提案とシステム構築を目的としている. 初年度では,DHMを実装したフローサイトメータの構築を行った。細胞観測が前提であるので,安定かつ高画質な計測結果が取得可能な透過型のマッハツェンダー干渉計に基づくDHMを構築した.細胞に非侵襲な波長域の632.8 nmのHe-Neレーザを新規に購入した.また,フローセルを新規に購入し,血液細胞の流れ場の観測を実施した. 次に,DHMにより取得したホログラム動画の各2次元画像から,フローセル内の血液細胞の3次元空間分布を復元および可視化するために,マルチオートフォーカス再生のプログラムを開発した.取得した画像に対して光波伝搬法を適用し,各伝搬距離に対する再生像を生成して,光の3次元場データを復元する.このデータを用いて,各血球の面内方向の位置を円形ハフ変換により検出し,その後に各再生距離に対する血球の位相分布のコントラストの変化によって,面外方向の位置を決定する.また,この処理によって,各血球を3次元的に検出されるため,血液診断項目の血球計数を実行するプログラムの作成を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はファイバ付き赤色レーザの購入を予定していたが,他の購入物品との予算の関係上,He-Neレーザの購入に変更した.この変更による当研究の進捗への影響はない.それ以外は,申請時の内容をほぼ達成しており,順調に研究を遂行している.
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究は順調に進んでおり,次年度も申請した通りの計画で研究を遂行する予定である.次年度では初年度に構築したDHMおよびマルチフォーカス再生法により得られた血球データから,診断精度を向上するための様々な情報を取得する研究を行なう.血液細胞の平均位相値,最大および平均厚みなどの幾何学的形状から複数の特徴パラメータを計算するプログラムを開発する.また,コンピュータトモグラフィ法による血球の完全な3次元形状の復元の研究に取り組む.これらの研究を実施するために,高画素数かつ高速撮像が可能なCCDカメラが必要なため,新規購入する.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品の価格変動等により,予算が少額余ったことから,次年度への繰越金として使用せずに残した.少額なので,低価格な電子機器や光学機器の物品費として使用する予定である。
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