研究課題/領域番号 |
18K04160
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
荒川 元孝 東北大学, 医工学研究科, 准教授 (00333865)
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研究分担者 |
金井 浩 東北大学, 工学研究科, 教授 (10185895)
西條 芳文 東北大学, 医工学研究科, 教授 (00292277)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 計測工学 / 超音波顕微鏡 / 音速 / 厚さ / 生体試料 / 集束超音波 |
研究実績の概要 |
生体組織や細胞など微小領域の音響特性を観察するために、超音波顕微鏡が開発されてきた。その心臓部である超音波デバイスでは、音響レンズを用いて平面波を集束させて空間分解能の向上と高出力化が図られてきた。ビーム集束によって様々な音響パスが生じるが、それらが音響特性(音速・減衰)測定値へ与える影響については全く考慮されていなかった。さらに、生体試料においては、試料表面からの反射信号の振幅が小さくS/Nが低下し、音響特性の計測精度が劣化する。 これまでに、動作中心周波数が80 MHzの音響レンズを取り上げ、音速、厚さをロバストに得られる解析方法を検討した。超音波顕微鏡の試料となる生体組織や細胞は厚さが薄いため、試料の表面と裏面からの反射パルスが時間領域で重畳し、時間領域では解析できない場合がある。このとき、周波数領域において試料からの反射スペクトルを解析することにより音響特性が求められる。この際に、試料の音速や厚さを生体試料として予測できる値に予め制限し、反射スペクトルを計測モデルと比較し、周波数スペクトル全体に放物線近似を行った。肌の悪性黒色腫試料に対して本手法を適用した結果、従来の解析方法に比べて、音響特性の誤解析を大幅に低減することができた。 今年度は動作中心周波数が350 MHzの音響レンズを取り上げて検討した。試料が薄い場合、反射スペクトルの位相が360°以上変化する場合がある。このため、反射スペクトルをフーリエ変換し干渉周期を求め位相回転量を推定することにより、正確な位相回転量の推定を可能とした。これにより、従来法では、求めることができなかった厚さ2ミクロン以下の試料の音速と厚さの推定が可能となった。
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