研究課題/領域番号 |
18K04164
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
赤羽 英夫 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (00552077)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 電子スピン共鳴 / EPRイメージング / EPRデジタル分光器 / 自動整合回路 |
研究実績の概要 |
フリーラジカル分子の3次元可視化が可能な生体用デジタル電子スピン共鳴(EPR)分光器の高速化を目的として、2019年度は、(1)低インダクタンスな磁場勾配コイルを備えた磁気回路の製作とその駆動システムの開発、(2)データ転送の高速化を目指したEPR制御基板の再設計を実施した。低インダクタンスな勾配コイルを実現するために、永久磁石からなるヨーク構造を持たない磁気回路を開発した。静止磁場は、EPR周波数が750MHzであることから、27mT程度にする必要があり、永久磁石の大きさや配置について電磁場解析ソフトを用いて最適化した。その結果、242個の円筒状のネオジウム磁石(直径10mm)を平面に等間隔に並べる単純な構造を用いて、EPRイメージングに必要な磁場を生成できることを示せた。磁場勾配用コイルには、マクスウェル型のデザインを採用し、巻き数や大きさなど電磁場解析ソフトを用いて最適化した。その結果、コイルに流す電流1Aあたり0.2 mT/cm程度の線形な磁場勾配をXYZそれぞれの軸に対して中心から±15mmの間に生成することができた。インダンクタンスの実測値は、シミュレーション結果と変わらず0.2~0.3 mHと低く抑えることができた。勾配コイル駆動用電源と接続した場合に、コイルの時定数がおそよ100μsとなり目標としてる投影データ取得時間(10ms程度)と比べて無視できる値となった。EPR信号処理用の制御基板の再設計では、USB3.0で通信が可能なICをFPGAとPCの間に採用し、以前に比べ30倍データ転送量を増加することができた。その結果、従来FPGA上で行なっていたEPR信号の復調過程を複数の周波数において同時にPC上で実行できるようになった。今後、高調波成分を利用したEPR信号の高感度検出に利用できるか検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定通りに進んているため。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に開発したEPR制御ボードに用いるFPGA上とPC上の両方のプログラムを最適化し、3次元イメージングの操作性を向上する。また、2020年度が最終年度であるため、装置の高速化がどの程度実現できたかマウス等の動物を用いて評価する。
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