研究課題/領域番号 |
18K04170
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉田 敬 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (30380588)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 磁気粒子イメージング / 磁気ナノ粒子 / 磁気分画 |
研究実績の概要 |
本研究では、申請者がこれまで開発してきた磁気ナノ粒子の磁気特性評価法と磁気分画法を高度化させ、これまでにない高性能な磁気ナノ粒子を実現する。これを基に、超高感度な磁気粒子イメージングシステムを実現するとともに、イメージング実験を通して本手法の有効性を実証することを目的としている。 本年度は、世界で唯一MRIの造影剤として体内使用が認可されている磁気ナノ粒子であるResovistと呼ばれる磁気ナノ粒子サンプルを用いて、磁気ナノ粒子の分画を行った。得られた成果は以下である。 1.分画する際の磁界(以下、分画磁界)を変化させることで、磁気カラムに補足される磁気ナノ粒子(ポジティブ粒子)と補足されない磁気ナノ粒子(ネガティブ粒子)の平均粒径がコントロールできることを明らかにした。 2.分画磁界を変化させ、組み合わせることで粒径分布の狭い、均一な磁気ナノ粒子を分画できることを明らかにした。すなわち、1回目の磁気分画(分画磁界B1)でポジティブ粒子をとりだし、次の磁気分画では、分画磁界をB2(B1<B2)とし、ネガティブ粒子を取り出すことでより磁気特性の揃った磁気ナノ粒子をオリジナルのサンプルから分離できることを実験により明らかにした。 3.「2.」で得られた磁気ナノ粒子サンプルを用いて、磁気粒子イメージングで信号として用いられる、磁気ナノ粒子の第三高調波磁化を測定した。磁気分画を行ったサンプルでは、オリジナルの磁気ナノ粒子サンプルと比較して、3倍程度の磁化信号が得られることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的の一つである、高性能な磁気ナノ粒子サンプルを、磁気分画という手法を用いて実現することができた。
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今後の研究の推進方策 |
H30年度にひきつづき、磁気分画を行い、高性能化および磁気分画の安定性・再現性の確認を行う。 また、磁気ナノ粒子の体内利用を想定し、以下のことを明らかにする。 磁気ナノ粒子は体内診断で用いられるため、体内の磁気ナノ粒子の磁化挙動(磁化信号の大きさ)は、粘度や、磁気ナノ粒子自身が物理的に回転できるかに影響される可能性がある。高性能化行った磁気ナノ粒子サンプルを用いて、磁気ナノ粒子の高調波特性(磁気粒子イメージングにおける磁化信号)の粘度依存性などを明らかにする。
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