研究課題
本研究では、申請者がこれまで開発してきた磁気ナノ粒子の磁気特性評価法と磁気分画法を高度化させ、これまでにない高性能な磁気ナノ粒子を実現する。これを基に、超高感度な磁気粒子イメージングシステムを実現するとともに、イメージング実験を通して本手法の有効性を実証することを目的としている。本年度は、世界で唯一MRIの造影剤として体内使用が認可されている磁気ナノ粒子であるResovistの他にもともと物理粒径が均一である磁気ナノ粒子サンプルの磁気分画実験を行った。様々な磁気ナノ粒子サンプルに対し、分画磁界を変えて分画することで、サンプルと得られる分画磁気ナノ粒子サンプルの関係を明らかにするとともに、磁気粒子イメージングに最適な粒子だけを安定に抽出できること、また、磁気粒子イメージングの信号が安定的に増加することを確認した。また、磁気ナノ粒子は体内診断で用いられるため、体内の磁気ナノ粒子の磁化挙動(磁化信号の大きさ)は、粘度や、磁気ナノ粒子自身が物理的に回転できるかに影響される可能性がある。そこで、本年度はこれらの磁気ナノ粒子サンプルの磁化挙動の粘度依存性を実験およびマイクロマグネティックスを用いたシミュレーションにより明らかにした。さらには、磁気ナノ粒子が特定のターゲットと結合した場合を想定し、固相・液相磁気ナノ粒子の磁化特性の測定およびモデル化を行い、磁気ナノ粒子イメージングで両者が識別可能であることを予備実験により明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
磁気分画手法を用いて高性能な磁気ナノ粒子サンプルの安定的な抽出を実現することができた。また、磁気ナノ粒子の磁化挙動の粘度依存性や固相・液相サンプルの磁化挙動の違いを明らかにすることができた.
磁気分画を行った磁気ナノ粒子サンプルを用いて液相・固相磁気ナノ粒子サンプルの識別を可能とする高感度な三次元磁気粒子イメージング実験を行う。高感度かつ両者の識別を可能にするためには、交流励起磁界に対して両者が大きな磁化特性を示し、かつ、両者の磁化特性の直流傾斜磁界依存性が大きな違いを示す必要がある。これらを実現するために、磁気分画を行った磁気ナノ粒子サンプルの粒子径と交流励起磁界や直流傾斜磁界の関係を明らかにするとともに、モデル化を行い、実験により高感度かつ両者の識別が可能な三次元磁気粒子イメージングが実現可能であること明らかにする。
年度末に参加予定の国際会議が延期となったため,翌年度に使用予定である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 6件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
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