研究課題/領域番号 |
18K04172
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
寺本 顕武 佐賀大学, 理工学部, 教授 (70207489)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 波動情報処理 / ダイバージェンス / 点波源拘束偏微分方程式 / 非破壊検査 / ガイド波 / 超音波計測 |
研究実績の概要 |
本研究は, たわみ振動をする薄板のA0モードラム波の位相速度ベクトル場のダイバージェンスに着目し, その値の分布を用いて表面下欠損を検出する新たな手法を提案している. 対象に欠損や欠陥などがない場合, 検査対象に平面波が照射されたても波面の位相速度ベクトルは変化しないため, ダイバージェンスがゼロとなる. それに対して, 欠損や欠陥がある場合, 欠損近傍では, ダイバージェンスの値が大きなものとなる. そこで, その値の分布を再構成することにより, 欠損の位置や形状を同定することが可能となる. 本報告では, 数理的な解析と実験により, 本手法の有効性を評価している. 本研究の成果をまとめると以下のとおりである.(1) A0モードラム波の弾性波動場が2次元の波動方程式で記述できることを利用して, 点状波源が存在する場合の, 波源近傍での面外方向の表面変位の動きを記述する, 点状波源高速偏微分方程式を導き出した. (2)A0モードラム波の弾性波動場において互いに直交する向きの面外せん断ひずみと面外変位の相関を求め, それらの二乗和から, A0モードラム波の位相速度ベクトル場のダイバージェンスを再構成できることを明らかにした.(3)放射源近傍で, ダイバージェンスが大きな値を示すことから, 本手法により, 散乱源, すなわち欠損のシルエットの撮像が可能であることを示した. (4)さらに, 提案手法は, 入射平面波の重なりに対して感度を持たないため,複数の平面波が重なった状態においても, 旧動的せん断ひずみ解析法と比較してS/Nの優れた像を得ることができる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) A0モードラム波の弾性波動場が2次元の波動方程式で記述できることを利用して, 点状波源が存在する場合の, 波源近傍での面外方向の表面変位の動きを記述する, 点状波源高速偏微分方程式を導き出した. (2)A0モードラム波の弾性波動場において互いに直交する向きの面外せん断ひずみと面外変位の相関を求め, それらの二乗和から, A0モードラム波の位相速度ベクトル場のダイバージェンスを再構成できることを明らかにした. これらのことより, 以前の科研で提案していた「動的せん断歪み解析法と比較して, 背景雑音レベルを低減することができ, より高分解能な欠損検出および欠損形状のシルエットの再構成に成功している. また, 実験により提案手法が, CFRPのような, 直交異方性弾性体中の欠損検出にも適用可能であることが明らかになった. これにより, 本手法が, 等方性弾性体, 異方性弾性体の区別なく 普遍的に適用できる可能性が示された. よって, 当初の目的が順調に進んでいると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
1) 本提案手法が, CFRPなどの直交異方性材料に適用できることが, 実験で示されている. しかし, 数理的には, その仕組みが明らかになっていない. そこで, 今後は, 数理的な証明を行い, 提案手法の普遍性を明確に示す。 2) 新たな, レーザー干渉変位計を購入し, 様々な直交異方性材料に対して, 本手法の有効性を実験を通して明らかにする. 3)以上の成果を論文にまとめ, 投稿し, 得られた知見を広く知らしめる.
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次年度使用額が生じた理由 |
[理由]本研究で製作している, 微分干渉照明光学系のキャリブレーションに使用していた, レーザー干渉変位計が経年劣化(14年経過)で使用できなくなった. 本機は, 2004に発表され, 2005年に購入した物である. 現在では, 部品もなく, さらに修理が不可能であり, しかもwindows2000でしか動作しない. そのため, 新しいレーザー干渉変位計を購入せざるを得ない. 現在, 小野測器のレーザー干渉変位計LV-2100Aを考えているが, 価格が税込み 2,700,000 であり, 次年度に660,000を繰り越し, その購入に当てる必要が発生した. [使用計画] レーザー干渉変位計を購入のために使用し, 様々な直交異方性材料の欠損検出実験で, キャリブレーションに使用し, 実験結果や理論の正当性の評価を実施する.
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