研究課題/領域番号 |
18K04174
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
光木 文秋 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (00398257)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 光波マイクロホン / プラズマジェット / 衝撃波 |
研究実績の概要 |
大気圧プラズマジェットの生体・バイオ応用において、活性酸素ラジカルの可視化や組織および微生物への影響について研究が盛んに行われている。プラズマジェットから放出されるエネルギーは空間・時間的にその形態を変化させるが、ターゲット表面および内部に到達した際の最終的なエネルギー形態が処理の有効性や各種観測結果の評価に影響する。本研究では、微弱な位相変調を検出可能な光波マイクロホンを用いて、プラズマジェットから発生する指向性の強い圧力波を計測し、ヨウ素デンプン溶液における酸素ラジカル分布計測との相関を明らかにすることを目的とする。当該年度は、おのおののプラズマジェットから放出される衝撃波を時間的に分離するため、バースト正弦波印加電圧を用いて、電圧が印加されていない休止期間を設けることで電界による影響を極力除去したうえで、光波マイクロホンの計測とヨウ素デンプン反応溶液の着色について研究を行った。その結果、電界の印加時間が非常に短いにもかかわらず、酸素ラジカルと反応し着色したヨウ素デンプン溶液はプラズマ誘起流として直下方向へ流れることが確認された。このことから、プラズマ誘起流は電界に起因するものではなく、衝撃波と密接に関連していることが確認された。また、ヨウ素デンプン溶液を使用する場合、デンプンの老化によりプラズマ直下の溶液粘度が高くなり、この領域では酸化に伴う着色が抑制されることもわかった。この結果は、ヨウ素デンプン反応による酸素ラジカル分布計測結果をそのままラジカルの分布とみせない場合があることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
光波マイクロホンCTスキャンシステムの測定音圧の絶対校正を標準マイクロホンを用いて行い、プラズマジェットから放出されている衝撃波の音圧レベルを推定する。このことにより衝撃波のエネルギーを見積もることができるため、放電エネルギーの最終形態である衝撃波がどの程度のエネルギーを占めているのか検討する。また、レーザチャネルを追加した光波マイクロホンシステムを回転させる新しいセットアップを構築することで、CTスキャンの高速測定を目標とする。ヨウ素デンプン溶液において観察されるプラズマ誘起流のメカニズムを解明することを最終目的とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19により3月に購入できない物品があったため。これについては2020年度購入予定。
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