研究課題/領域番号 |
18K04190
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
和田 篤 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 教授 (40434021)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 光ファイバ / センシング / 多点計測 / 干渉計測 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、計測部配置の自由度を確保しつつ、一本のファイバ上に設置した 100 点を超える測定点における振動を同時に測定可能な光ファイバ型多点振動センサを実現する事である。センサ素子として低反射率の光ファイバブラッググレーティング(FBG)で構成したファブリペロー干渉計を導入し、センサ応答の読み出しに半導体レーザの高速波長掃引を用いて、自由な設置が可能な多点振動センサシステムを実現する。 昨年度までに、外部業者に依頼して試作した低反射率 FBG-FPI と、通常の波長可変レーザを用いた低速な多点ひずみセンシングの動作確認を行い、その後、半導体レーザの高速波長掃引を用いたセンサ応答の読み出しの実証実験を行った。低反射率 FBG-FPI からの反射スペクトルは確かに正弦波の構造を有している事、周波数解析する事で各 FBG-FPI からの信号を分離し、多点同時測定が可能な事、半導体レーザの注入電流の変調によって得られる狭い範囲内ではあるが高速な波長掃引によって、充分にセンサ応答が読み出し可能な事が確認できている。狭い範囲の掃引によって読み出されたセンサ素子の反射スペクトルをそのままフーリエ変換した場合は、側帯波の影響による雑音が確認されたが、この影響は一般的な窓関数を適用する事で取り除くことができた。更に、センサ素子の高機能化を行った。センサ素子の母材を通常のシングルモードファイバから偏波保持ファイバに変更する事で、ひずみと温度を同時に特定できる。試作した新たなセンサ素子を用いてひずみと温度の同時多点測定システムを構築し、実際に温度とひずみの多点同時測定が可能である事を実験的に確認した。 今年度は、電流変調の条件を変更して測定の高速化を試みた。現在サンプリング周波数72 kHz の測定を実現している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染状況の影響によっていくつかの実験の実施が予定通り行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
構成したセンシングシステムで使用している波長モニタ用干渉計の位相精度の検証を行う。干渉計の光路長差や解析手法をいくつか変更し、精度向上を試みる。これを踏まえて、センシングシステムの測定精度と測定速度のさらなる向上を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加を予定していた国際会議等が新型コロナウィルスの影響で延期や中止となったことが要因の一つである。また、今年度中に購入する予定だった幾つかの物品について、検証実験の結果を踏まえて要求性能等を再検討する事にしたため、購入を次年度に見送った。次年度使用額分は購入を見送った物品の購入と、学術雑誌への論文投稿料等に充てる予定である。
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