研究課題/領域番号 |
18K04191
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
千葉 龍介 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (80396936)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 姿勢制御 / 表面体性感覚 |
研究実績の概要 |
本研究課題では「数理モデルによる姿勢制御における表面体性感覚の付与の効果の解析」を目的としている.ヒトの姿勢制御で用いられる感覚は複数存在し,視覚・前庭感覚・深部体性感覚(固有感覚)・表面体性感覚(皮膚感覚)と言われており,この皮膚感覚の使われ方は不明な部分が多い. 表面体性感覚の付与を数理モデルの観点から考えると次の2種の仮説が考えられる.それは,接触によって「①身体の揺れ(動揺)を感覚情報として付与している」,「②感覚統合における表面体性感覚の重みを増加させている」である.①に関し,接触では垂直に大きな力を付与しないことから身体を支える効果は非常に小さい.しかし,身体が揺れた時,水平方向に力が働き接触点(接触面)において摩擦が生じる.この摩擦が自身の身体の動揺を検知する効果があるのではないか,という仮説である.②に関し,現在感覚統合の研究では,各感覚はその信頼度に基づいて重み付けをされて用いられているという考え方が主流である. ヒトは発達や訓練によってこの重みを適切に変更することによって,その時の運動に必要な感覚を使っており,例えば滑る床の上を歩くときには足底部の感覚を重視する.すなわち,接触によって表面体性感覚の重みが変化することで足底部などの情報が強化され,効果を発揮するという仮説である.本研究課題では,これらの仮説の検証を行うとともに数理モデルにより接触の効果を定量化する. 初年度(平成30年度)においては実験系の構築に焦点を当て,次年度以降の仮説検証・モデル化への足がかりとする予定であった.前庭感覚阻害としてのGVS,深部体性感覚としての前脛骨筋腱への振動の付与,表面体性感覚への強調を測定するための3軸力覚センサはセットアップしたが,VR技術を用いた視覚への変容の構築は次年度となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
VR技術による視覚への刺激が未実装である.これは加速度を感じる視覚映像の構築が予想を越えて困難であったこと,特に「映像酔い」を引き起こさない条件の抽出が困難であったためである.
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降はまず実験系の構築を完了する.その後,各種感覚変容実験の結果を解析する.表面体性感覚の付与による身体の移動量の補正量から,その接触の効果が定量化できる.また,接触方向および摩擦方向の力と補正量の関係に正の相関があれば仮説①,なければ仮説②が有力となると考えられる.同様に接触箇所による補正量の差異がない場合,これも仮説②が有力となる. 更に数理モデルによる表面体性感覚の定量化を行う.感覚付与による姿勢の変容を数理モデルによって説明する.ここでは,従来研究から各感覚の信頼度から来る重みとそれらの感覚が与える推定姿勢の積が線形和されたものが自身の推定姿勢となると考える.ここで仮説①では,接触により新たな線形項が加わることとなり,他の係数が減少する.仮説②では接触により表面体性感覚の係数が増加し,他の感覚の係数が減少することになる.これらのパラメータを最適化手法によって推定する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は実験設備の充実と被験者実験のために予算を計上したが,実験設備の構築に時間を要した関係で十分なものとならなかった.次年度以降にこの実験設備の構築を完了し,被験者実験を行うため,予算を繰り越すこととした.
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