電力フィードバック進行波型熱音響発電機の実用化を目指し、①安定性解析ツールの開発、②発振周波数の決定要因の検討、③多段コアの段数削減、④周波数応答計測の精度向上、を実施した: ①熱音響コア部を1入出力系とみなした安定性解析において、コア部の振幅依存性を取得するために、測定管路長を掃引することで共振特性を利用して大振幅加振する手法の妥当性を検討し、むだ時間や帯域制限フィルタを適当に設定すれば従来の大規模音源による周波数応答計測と同等の結果が小規模音源で得られることを示した[小林他、音響学会2020秋]。さらに振幅依存性を考慮したコア部の特性を用いて電力フィードバック発電機の安定性解析を行うため、コア部片側に無反射管路を接続することで、2入出力系とみなしたコア部の周波数応答関数行列を取得する手法を提案し本手法の妥当性を実験的に検討した[竹村他、音響学会2020秋]。無反射路の模擬が不十分であったことからこの改善が今後の課題である。 ②リニアモータを剛体壁で置換・コア部の反射特性のみ利用等、単純化した安定性解析結果より、定在波型モードにおける発振周波数及び安定性解析による推定値には、コア部の低温側端面とリニアモータ間で音波が往復する共振が支配的であり、この結果単純な管路長と音速に基づく理論値に対して発振周波数が高くなることを明らかにした。 ③リニアモータのボイスコイルを従来の水平から垂直方向に、市販スピーカからボイスコイルアクチュエータに変更し、エルボを介してコア部・管路部と接続した結果、永久磁石の位置決めが不要となり実験の再現性が向上すると共に、電力-音響パワー変換効率の改善により発振可能なコアの段数が5段から4段に低減した。 ④長期間の網羅的な実験データに基づき定量的評価を行うため空調を導入すると共にヒーター電源(二値制御)を無段階の電圧制御に置き換え実験環境を改善した。
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