研究課題
せいめい望遠鏡の分割主鏡制御の基礎検討を行い、実験的な検討を進めている。望遠鏡の設計情報をもとに制御対象のモデル化を行った。分割主鏡は18枚の分割鏡(内周セグメント6枚と外周セグメント12枚)と内周リングから構成される。アクチュエータはステッピングモータを含み、角速度・速度指令を与えて角度・位置制御を行うので、積分器を用いて動特性をモデル化した。また、分割鏡と分割鏡の間には各辺2個ずつ距離センサが配置されており、内周セグメントと内周リングの間には合計12個の距離センサが配置されており、合計72個のセンサが配置されている。状態変数(角度・位置)から距離センサ出力までの依存関係を、設計データをもとに幾何学的に割り出し、線形化を行うことにより作用行列を導出した。本研究では、実験的に作用行列を推定する方法について検討を行ってきた。制御対象を積分器と作用行列の積と考え、入出力データから作用行列を推定する、多入出力積分器モデルのパラメータ推定問題として定式化した。入力を積分してから最小二乗法計算によりパラメータ推定が可能であることを示し、シミュレーションにより検証した。また、分割主鏡制御問題を出力フィードバック制御問題と解釈して、集中制御と分散制御と呼ぶ二種類の制御手法を提案した。集中制御については、望遠鏡に実機実装され、観測開始に至っている。制御実験を行いシミュレーション結果との対比を行なった。理論検討及びシミュレーションでは動作点周りの線形化モデルを想定するのに対し、実データでは動作点の控除を行なった上で評価を行う必要があり、データ処理に工夫を要した。制御実験結果がシミュレーション結果に類似することを確認できた。分散制御則では構造解析を通じて、幾何学的に合理的なゲイン調整の自由度が明らかとし、さらに集中制御則を近似するような最適化手法を構築した。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
SICE Journal of Control, Measurement, and System Integration
巻: 14 ページ: 111-118
10.1080/18824889.2021.1913879